「らくだの涙」(The Story of the Weeping Camel)
監督・脚本:ビャンバスレン・ダバー/ルイジ・ファロルニ
製作:トビアス・N・シーバー 撮影:ルイジ・ファロルニ
配給:クロックワークス/2003年/ドイツ/91分/
出演:インゲン・テメー/ボトック/オーガンバータル・イフバヤル/オドゲレル・アユーシ/ジャンチフ・アユールザナ /エンフブルガン・イフバヤル/アムガーバザル・ゴンソン/ツェベルジャムツ・ニャム/イフバヤル・アムガーバザル/チメド・オフィン/ムンフバヤル・ハグバー/アリウンジャルガル・アデヤ/ドゴー・ロルジャブ/チュルーンツェツェグ・グル
(上映館:新潟市・シネウィンド)
採点(満点は星5つ):★★
この映画がドキュメンタリーの形をとったドラマであることは、冒頭のカメラワークで明白である。通常、ドキュメンタリーならばカメラが登場人物を追いかけるが、この映画では、据え置いたカメラに登場人物がフレームインしてあらかじめ決められた位置で演技を始めるからだ。
モンゴルの大地に住む遊牧民の家族。ちっとも子育てをしない母らくだのためにらくだの心を癒すために音楽家をつれてきて音楽を聞かせる。らくだは涙を流し、子どもに乳を与える、というだけの映画である。
しかし、ドキュメンタリー風を装っていることが、なんとなく映画に入っていけない。なまじ装っているだけに、タチの悪さを感じてしまう。どこまでが演出でどこまでが事実なのか、としらばっくれていることに不誠実さを募らせてしまう。
もともとドキュメンタリーといえど、すべてが事実であるわけはなく、大なり小なり演出はあるのはかまわないのだ。だけど、この映画ではその演出が鼻につきすぎている。むしろ最初から劇映画として撮ったら、きっと素晴らしい映画になったのじゃないだろうか。

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