「おくりびと」
2008年日本 松竹配給 カラーヴィスタサイズ130分
監督:滝田洋二郎 製作:信国一朗 プロデューサー:中沢敏明/渡井敏久 エグゼクティブプロデューサー:間瀬泰宏 脚本:小山薫堂 撮影:浜田毅 美術:小川富美夫 音楽:久石譲
出演:本木雅弘/広末涼子/山崎努/余貴美子/吉行和子/笹野高史/杉本哲太/峰岸徹/山田辰夫/橘ユキコ
上映館:会津栄楽座
採点:★★★★
この映画は面白いと聞いていたのだが見逃してしまい、会津まで追いかけて見に行った。しかも会津栄楽座は明日をもって閉館という。閉館になる最後の週末というのに朝10時の映画が15分前にはまだ誰も並んでいない。近所の市役所の建物など写メに撮ったりして時間をつぶし再度5分前に映画館に戻るとようやく開場。閉館特別割引料金ということで1000円均一である。
さて、この映画、遺体を清めて棺に納める納棺師を描く。ようやくオーケストラに入団できたチェリストの本木雅弘、しかし最初の公演でオーケストラはあえなく解散。(ちなみにこのオーケストラを演じたのは山形交響楽団と音楽監督の飯森範親である)職を失った彼は高価なチェロを売り払い、妻の広末亮子と共に故郷の山形に帰る。そこで見つけた仕事は「納棺師」という聴きなれない仕事だった。社長の山崎務は説明もそこそこにいきなり現金をくれる。いやいやはじめた仕事だったがそのうち納棺師という仕事の重要性に目覚める。象徴として描かれるのが山田辰夫の妻の葬式。「あんたたち、人の死で食っているんだろう」とさんざんに言われたが、葬儀の後、「あんなにきれいな妻は始めて見た。ありがとう」と感謝される。しかし、仕事のことはなぜか自分の妻には打ち明けられない。そして事実を知った妻は「けがらわしい」と実家に帰ってしまう。
しかし、戻ってきた妻は本木の親友の母親の遺体の納棺を施す様子をつぶさに見、納棺の仕事が死んだ親しいひととの別れを手伝う重要な仕事であることを知る。
映画はとても面白い。特に本木雅弘、山崎務、笹野高史といった芸達者が思う存分力を発揮している。広末涼子もほんわかしていて良い。しかし見終わった後であまりにも予定調和なストーリーが軽い感じもしてしまう。なんというか、テレビ的なのである。たとえば妻が戻ってきたタイミングで友人の母が死ぬとか、たまたま自宅にいる時に生き別れた父親の死の電報が届くとか、まあつっこむところではないのかもしれないけれども都合が良すぎる。シナリオが練れていないという感じが強い。まあ、もともと話題にもならない低予算映画なのだと思うのでそのへんは無いものねだりなのかもしれないがせっかく映画の出来がいいだけに惜しいと思う。

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