「アデル、ブルーは熱い色」LA VIE D'ADELE(BLUE IS THE WARMEST COLOR)
2013年 フランス 配給:コムストック 179分 R18+
監督:アブデラティフ・ケシシュ 原作:ジュリー・マロ 脚本:アブデラティフ・ケシシュ/ガーリア・ラクロワ 撮影:フォフィアン・エル・ファニ 編集:カミーユ・トゥブキス/アルベルティーヌ・ラステラ
出演:アデル・エグザルコプロス/レア・セドゥ/サリム・ケシュシュ/モナ・ヴァルラヴェン/ジェレミー・ラウールト/アルマ・ホドロフスキー/バンジャマン・シクスー
上映館:Tジョイ新潟SC1
採点:★★☆☆☆
2013年カンヌ映画祭最高賞、主演女優賞受賞作品。だいたいカンヌのパルムドールを取る映画は私にとっては鬼門なのですが、この映画も、つまらないとまでは言わないけれども、如何せん尺が長すぎます。ラストまでの1時間は面白く観られたので、1時間40分か、せめて2時間にしてほしいなあ。日活ロマンポルノで神代辰巳監督なら1時間10分で面白い映画にしていたよ、などと思います。
絡みのシーンが延々と、という口コミのわりにはそれほどでもなかったけど、女性同士の絡みって技巧を凝らせば凝らすほどコメディになってしまう感じ。アデルとエマが初めてセックスするシーンは必要だと思うけれども、その後に繰り返されるシーンは、濃密に描写すればするほど笑えるシーンになってしまうのです。なんというか、アスレティックな感じになっちゃうんですね。だから、そういうシーンをすっ飛ばして、男に送られて帰ってきたアデルをエマが激しく責めるシーンあたりから面白くなってくる、という感じでした。
アデルは長い髪を束ねていて、それをしきりに触って髪を崩すのが、たぶんエロい仕草ってことになっているんだろうな、と思いました。それから、彼女が髪を解いて海上に漂うシーンはエヴァレット・ミレイの絵画「オフィーリア」を連想したし、シャワーシーンはボナールの「浴室の裸婦」、パーティーに参加している女性はモディリアニの描くあごのとがった女性が出てきたりといろいろな絵画のモティーフを使っていると思われるシーンがありました。
追記:
アデルが男に送られて帰ったとき、なぜエマがあれほど激怒したのか、つらつら考えていました。男と寝たことよりも、アデルが嘘をついたことに腹を立てたのではないでしょうか。映画の中で、しばしばアデルは嘘をつきます。自分を綺麗だと思っている女性が軽い嘘をついても責められない、というような感じです。エマはそういうアデルを許せなかったのだと思うのです。
濃厚なセックスシーンについて。この映画の内容は対象が異性ではなく、同性であることを除けば、普遍的な愛の葛藤を描いた作品です。セックスシーンが評判になって注目を浴びるというメリットに対し、成人指定になってしまい、観客が限られてしまうというデメリットがあります。また、セックスを延々と描くことによって映画のテンポが乱れてしまうということもあります。昔の日活ロマンポルノは、ポルノシーンは必ず一定時間入れなければならないので、映画の流れがセックスシーンで分断されてしまうというジレンマがありましたが、別にこの映画はポルノ映画として作る必要もないので、セックスシーンは適当に切り上げても良いわけです。私の個人的な意見としては、濃厚なセックスシーンを売り物にしている映画は、そういうシーンがなければ面白い、ということが多い気がします。まあ、濃厚なセックスシーンが無ければ、元々私もこの映画を観ようとしていないだろうことを白状いたします。
http://adele-blue.com/

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