「柘榴坂の仇討」
2014年 松竹 119分
監督:若松節朗 原作:浅田次郎 脚本:高松宏伸/飯田健三郎/長谷川康夫 撮影:喜久村徳章 美術:小川富美夫 編集:阿部亙英 音楽:久石譲 照明:長田達也 録音:小野寺修
出演:中井貴一/阿部寛/広末涼子/高嶋政宏/真飛聖/吉田栄作/堂珍嘉邦/近江陽一郎/木崎ゆりあ/藤竜也/中村吉右衛門
上映館:ユナイテッドシネマ新潟
採点:★★★★☆
大老井伊直弼が客死した桜田門外の変で、ひとり生き残った供侍が自死を許されず、主君の仇討を命ぜられたまま明治の時代まで13年間を過ごす。ようやく仇を見つけた時には仇討禁止令が出ていた。
時代に翻弄されたひとりの武士を通して、信念に生きるということを丁寧に描いた良作です。命に代えても主君を守ると誓ったはずなのに主君を守れなかった侍を中井貴一、彼を支える妻を広末涼子、仇として討たれる時が来ることを予期し、自分を殺して俥夫として生きる男を阿部寛がそれぞれ好演しています。
仇を討った後にあの夫婦はどうなるのか、と聞かれて警察署長の藤竜也が「当然死ぬのだ」という会話によって観客はこの映画のテーマを理解します。仇を狙う方も狙われる方も死ぬために生きているのだということを。
短期間に世の中がどんどん変わってしまって、自分が信じていたものが足元から崩れてしまうのは現代でも同様です。そんな時代に前を向いて生きるとはどういうことなのか、改めて感じさせる映画でした。
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