「駆込み女と駆出し男」
2015年 松竹 143分
監督・脚本:原田眞人 企画:井上麻矢/石井美保子/田辺昌一 製作総指揮:大角正 プロデューサー:榎望/升本由喜子/住田節子 アソシエイトプロデューサー:西川朝子/寺西史 ラインプロデューサー:相場貴和 原案:井上ひさし『東慶時花だより』 撮影:柴主高秀 美術:原田哲男 衣裳:宮本まさ江 編集:原田遊人 音楽:富貴晴美 音楽プロデューサー:小野寺重之
出演:大泉洋/戸田恵梨香/満島ひかり/内山理名/陽月華/キムラ緑子/木場勝己/神野三鈴/武田真治/北村有起哉/橋本じゅん/山崎一/麿赤兒/中村嘉葎雄/松岡哲永/赤間麻里子/玄里/松本若菜/でんでん/井之上隆志/山路和弘/大鳥れい/中村育二/宮本裕子/樹木希林/堤真一/山崎努
上映館:ユナイテッドシネマ新潟SC3
採点:★★★☆☆
江戸時代、縁切り寺と呼ばれたのは鎌倉の東慶寺と上州の満徳寺でした。一般に江戸時代は男尊女卑の時代であったという印象が強いのですが、実際には女性が影の実力を持っていたというケースは多くあったようです。
建前として男性上位でありながら、無法な夫から逃れるためのアジール(避難所)の機能は、寺社や大名屋敷などにも元々あって、これらの施設は幕府といえども安易に踏み込めない治外法権の場所であり、実際にアジールとしての機能もあったようです。
五代将軍徳川綱吉の時代に施行された「生類憐みの令」は、実はこうした治外法権の場所へ立ち入るための手段であったとも言われます。けがをした犬が大名屋敷に入ったと通報があれば、幕府の役人が本来治外法権であったはずの大名屋敷にも立ち入ることが出来る。こうして徐々に大名屋敷や寺社のアジール機能は失われて行き、最終的に千姫ゆかりの東慶寺と満徳寺が幕末までアジールとしての機能を維持していたということでした。
映画では、門前で追手に捕まっても身に着けているものを寺内に投げ入れれば駆け込み成立、というシーンが出てきますが、これは実際にこの通りであったようです。かなり駈け込み寺の仕組みをきちんと描いているなあという印象です。
ストーリーは江戸末期、天保時代を背景に表看板は商人堀切屋、実態は盗賊の親玉(堤真一)の妾お吟(満島ひかり)、遊び人の亭主をもった製鉄業のじょご(戸田恵梨香)、道場を乗っ取られ、無理やり妻にさせられたゆう(内山理名)という三人の駆込女たちと駆込人の世話と管理をする御用宿柏屋に居候する医者&戯作者の信次郎(大泉洋)がからんで彼女たちにまつわる事件を追っていきます。
井上ひさしらしい軽快な口調のセリフと現代語のセリフの混在や駆け込み寺を潰そうとする鳥居耀蔵の策謀が結局尻すぼみでドラマが盛り上がらなかったり、エピソードを盛り込みすぎて尺が長くなりすぎ、中だるみになってしまっているのが残念です。
http://kakekomi-movie.jp/

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