「あん」
2015年 日本/フランス/ドイツ(エレファントハウス)113分
監督:河瀬直美 プロデューサー:福嶋更一郎/澤田正道/大山義人 原作:ドリアン助川 脚本:河瀬直美 撮影:穐山茂樹 美術: 部谷京子 主題歌:秦基博『水彩の月』
出演:樹木希林(徳江)/永瀬正敏(千太郎)/内田伽羅(ワカナ)/市原悦子(佳子)/水野美紀(ワカナの母)/太賀(陽平)/兼松若人(若人)/浅田美代子(どら春のオーナー)/竹内海羽/高橋咲樹/村田優吏愛
上映館:イオンシネマ新潟西SC3
採点:★★★★☆
街の小さなどら焼き屋の訳あり店長。ある桜の満開の日に一人の老女が雇ってくれと現れます。最初は断っていた店長も老女の作ったという粒あんを食べて考えを変えます。今まで使っていた業務用のあんとは格段の差があったからです。翌日から夜明け前から二人はあんの仕込みを始めます。50年間あんを作っていたという老女は小豆の声を聴きながらあんを炊けばいいのよ、と言います。そうして作られたどら焼きは評判となり、店には行列ができます。しかし、老女には秘密がありました。
この映画の成果はひとえに樹木希林の絶妙な演技によるものだと思えます。一人の人間が背負わされた過酷な運命をドラマティックに描くことはいくらでもできると思いますが、あえてそれをせず、ありふれたトーンで描いたのは好感が持てます。
実際、なんでもない平凡に見える人が、実は大変な人生を送っているということはよくあることです。永瀬正敏の店長の抑えた演技、内田伽羅の素直な演技も良い。内田伽羅が樹木希林の孫なのは全然知りませんでした。
そして、最大の悪玉キャラ、浅田美代子もさりげなく憎々しげで良かったですね。
なんでもオーバーアクトにして涙を流させようとする演出過剰な作品が巷に溢れている時代、こういう映画は一般受けはしないのかも知れないですが、監督の良心を感じます。
http://an-movie.com/

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