「ハッピーアワー」
2015年 神戸ワークショップシネマプロジェクト 317分
監督:濱口竜介 製作総指揮:原田将/徳山勝巳 プロデューサー:高田聡/岡本英之/野原位 脚本:はたのこうぼう(濱口竜介/野原位/高橋知由) 撮影:北川喜雄 音楽:阿部海太郎
出演:田中幸恵(あかり)/菊池葉月(桜子)/三原麻衣子(芙美)/川村りら(純)/申芳夫/三浦博之/謝花喜天/柴田修兵/出村弘美/坂庄基/久貝亜美/田辺泰信/渋谷采郁/福永祥子/伊藤勇一郎/殿井歩/椎橋怜奈
上映館:新潟シネウインド
採点:★★★★☆
映画の冒頭はセリフも棒読みな4人の女性の演技に素人感満載でしたが、へんてこな「重力」のワークショップでかなり素な感じになり、その打ち上げのカフェの何気ないやりとりがきっかけになって4人の家族をめぐる問題が次第に明らかになっていく展開は素晴らしい。第1部の終わりには物語に完全に引き込まれてしまいました。
ただし、5時間17時間に及ぶ映画を、便宜的にシークエンスの途中でぶった切って休憩を二回入れ、集中をそがれてしまうのは残念。出来れば休憩なしに全編を一気に見せるべきだし、休憩を想定するなら、脚本はもう一度練り直す必要があると思います。
第1部だけなら★5つというところですが、ラストの処理がちょっとありきたりになってしまってこの作品の良さをいささか壊してしまっているような気がしたので★4つ。
しかし、日常の細かな描写でこの長尺を飽きさせないというのは凄いです。演技経験の乏しい出演者が、どんどん深い演技を見せていくのもこの映画の見どころでしょう。
日本映画はどの作品を観ても、同じような俳優が同じような演技をしている金太郎あめになってしまうので、いや、ハリウッド映画にしてもそうなんですけど、こういう映画の作り方もあるんだな、と感心させられます。
映画の内容は、倦怠期の夫婦の黄昏を描くという点で目新しさはないのですが、主人公たち一人一人の仮面が、ダイヤローグによって少しずつはがされていくミステリ的な興味で惹きつけていくというのはなかなか見事でした。
ただ、便宜的に三分割しただけなのに、通常の映画料金の3倍払うというシステムはどうなんでしょうかね。私は会員なので3000円でしたが、通常料金なら5400円ですよ。いろいろと劇場の事情があるのは分かりますが、ちょっと納得しがたい料金ではありました。
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