「沈黙 -サイレンス-」(SILENCE)
2016年 アメリカ/イタリア/メキシコ(KADOKAWA) 162分
監督:マーティン・スコセッシ 製作:マーティン・スコセッシ/エマ・ティリンジャー・コスコフ/ランドール・エメット/バーバラ・デ・フィーナ/ガストン・パヴロヴィッチ/アーウィン・ウィンクラー/ヴィットリオ・チェッキ・ゴーリ 製作総指揮:デイル・A・ブラウン/マシュー・J・マレク/マニュ・ガルギ/ケン・カオ/ダン・カオ/ニールス・ジュール/チャド・A・ヴェルディ/ジャンニ・ヌナリ/レン・ブラヴァトニック/アヴィヴ・ギラディ/ローレンス・ベンダー/スチュアート・フォード 原作:遠藤周作 脚本:ジェイ・コックス/マーティン・スコセッシ 撮影:ロドリゴ・プリエト プロダクションデザイン:ダンテ・フェレッティ 衣装デザイン:ダンテ・フェレッティ 編集:セルマ・スクーンメイカー音楽:キム・アレン・クルーゲ/キャスリン・クルーゲ 音楽監修:ランドール・ポスター/ジョン・シェーファー エグゼクティブ音楽プロデューサー:ロビー・ロバートソン
出演:
アンドリュー・ガーフィールド(ロドリゴ)/アダム・ドライヴァー(ガルペ)/浅野忠信(通辞)/キアラン・ハインズ/窪塚洋介(キチジロー)/笈田ヨシ/塚本晋也(モキチ)/イッセー尾形(井上筑後守)/小松菜奈/加瀬亮/リーアム・ニーソン(フェレイラ)
上映館︰ユナイテッドシネマ新潟SC5
採点︰★★★★★
遠藤周作は幼児洗礼で自らの意志と係わりなくクリスチャンとなり、身の丈に合わない衣のようなキリスト教をどう着こなして行くのかをライフワークとした作家です。
私も伯母がクリスチャンで教会付属の幼稚園に通っていたり、小学校の頃も日曜学校に行ったりしたので、多少なりとも幼児時代のキリスト教体験として共通する感覚はありました。
「沈黙」はそうした遠藤周作の違和感を基に著された渾身の作です。などと偉そうに言っても未読なので何おか言わんや、ですが。その、キリスト教の根源にも関わる作品を、キリスト教世界の人間であるマーティン・スコセッシが映画化したと聞けば、これは観るしかありません。
結論から言えば162分という長さを全く感じない素晴らしい映画でした。自らの教えに忠実であろうとすればするほど、信者達の苦痛を深めてしまうというイエズス会の宣教師の苦悩が良く描かれていました。日本側の俳優陣も流石に良かったです。特に切支丹を弾圧する奉行を演じたイッセー尾形は素晴らしい。単なる弾圧者としては描かれていないところがいいですね。
作品の中でキーマンになるキチジローは何度も宣教師を裏切りながら常に一番身近にいます。この人物を愛せるかどうか、それがこの映画の主題なのかもしれません。深い内容の映画ですが、ある意味サスペンスフルな映画でもあるので退屈しなかったと思います。
http://chinmoku.jp/

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