「パターソン」(PATERSON)
2016年アメリカ(ロングライド)118分映倫G
監督:ジム・ジャームッシュ 製作:ジョシュア・アストラ/カンカーター・ローガン 製作総指揮:オリヴァー・ジーモン/ダニエル・バウアー/ロン・ボズマン/ジャン・ラバディ 脚本:ジム・ジャームッシュ 撮影:フレデリック・エルムズ プロダクションデザイン:マーク・フリードバーグ 衣装デザイン:キャサリン・ジョージ 編集:アフォンソ・ゴンサウヴェス 詩:ロン・パジェット 音楽:スクワール
出演:
アダム・ドライヴァー(パターソン)/ゴルシフテ・ファラハニ(ローラ)/バリー・シャバカ・ヘンリー(ドク)/クリフ・スミス(メソッド・マン)/チェイセン・ハーモン(マリー)/ウィリアム・ジャクソン・ハーパー(エヴェレット)/永瀬正敏(日本の詩人)
上映館:シネマカリテSC1
採点:★★★★★
「コーヒー&シガレッツ」(2003年)のジム・ジャームッシュ監督の作品が公開されると知り楽しみにしていました。新潟のシネ・ウインドで上映予定なのですが、丁度東京に出てきたので新宿で鑑賞しました。
ニュージャージー州の小さな町パターソン。ここでバスの運転手をしている「パターソン」は日々の出来事を詩にして綴っています。
映画は毎朝、パートナーのローラと一緒のベッドで目覚めるパターソンの描写で始まります。腕時計を確認し、ローラの肩に接吻し、独り起き出してシリアルの食事を取って徒歩で仕事に向かうはが淡々と描かれます。
その描写が毎日繰り返されるのですが、同じ毎日でもまるきり同じというわけでもなく、ローラも下着をつけていたりいなかったり、後半になると週末のバザーで売るケーキを作るためにパターソンよりも早起きだったりします。
二人は夫婦なのだと思いますが、会話はかなり他人行儀な感じでお互いに遠慮がちに思えます。二人が飼っているミニブルドックはパターソンには馴染んでいないようで、散歩に連れて行っても言うことを聞きません。
二人が仲良くしていると明らかに嫉妬しているような感じ。多分ローラの飼い犬で二人が同居したのは最近のことのようです。この犬がこの映画のツボであることは間違いありません。
パターソンが心酔している詩人は郷土の出身であるウィリアム・カーロス・ウィリアムズ。ローラがちゃかしてカーロス・ウィリアム・カーロス、なんて言ったりします。
後で調べると「パターソン」はカーロス・ウィリアムズの代表的な詩集なので、この映画自体がカーロス・ウィリアムズへのオマージュだったことに気づきました。
ラスト、ベンチに座っているパターソンに話しかけてきた日本人のビジネスマンはパターソンの日本語版を手にして、「詩を翻訳で読むのは、レインコートを着てシャワーを浴びるようなものだ」なんて言います。
ここで唐突に日本人が現れるのに違和感があったのですが、彼は実は彼のバスに以前乗って、パターソンが詩人であることを知っていたのかも知れない、と思いました。
あの、「ンーフン!」が意味するところは「俺は知ってるよ!」だったのかな?
ウィリアムを演じたアダム・ドライヴァー、「スター・ウォーズ」でのカイロ・レン役や「沈黙」のガルペ神父役を演じた人でした。最近若い俳優さんの顔が覚えられなくて困ります。
http://paterson-movie.com/

0