「ミッドナイト・バス」
2017年 アークエンターテインメント 157分 映倫G
監督:竹下昌男 製作:竹下昌男/渡辺美奈子/小田敏三/星野純朗 プロデューサー:本間英行/遠藤日登思 ラインプロデューサー:姫田伸也 原作:伊吹有喜 脚本:加藤正人 撮影:丸池納 美術:飯塚優子 編集:奥原好幸 音楽:川井郁子照明:山川英明 録音:白取貢 助監督:佐野友秀
出演:
原田泰造(高宮利一)/山本未來(加賀美雪)/小西真奈美(古井志穂)/遠藤雄弥(大島雅也)/渡辺真起子(大島恵美子)/遠山俊也(大島達也)/佐藤恒治(長谷川巌)/マギー(佐藤孝弘)/舞川みやこ(植田絵里花)/長谷川玲奈(木村沙智子)/葵わかな(高宮彩菜)/七瀬公(高宮怜司)/長塚京三(山辺敬三)
上映館:ユナイテッドシネマ新潟
採点:★★★★☆
新潟日報社創立140年記念映画として新潟で撮影された映画です。1月27日の全国公開に先駆けて新潟県内で先行ロードショーで観てきました。
新潟と東京池袋を結ぶ高速バスの運転手(原田泰造)は離婚して二人の子ども(葵わかな、七瀬公)がいる。東京では10年来の付き合いとなる小料理屋の女将(小西真奈美)が彼を癒やしてくれていた。
そんな彼のバスに偶然別れた妻(山本未來)が乗ってくる。彼女は再婚して8才の子供がいるが、単身赴任の夫は赴任先に愛人がいるという。彼女は月に一度、入院して痴呆気味な父親(長塚京三)を見舞うために新潟に通っているという。
本音を言わずに様々な感情を内に込めて表面上穏やかに過ごして来た家族が、徐々に気持ちをぶつけ合い、わだかまりを捨てて自らの道を歩み出すと言う結末は余韻を残したいい映画でした。
なかなか本心を見せない登場人物たちは、新潟と言う土地柄をよく表していると感じます。主演の原田泰造は大型免許まで取得して実際にバスを運転して寡黙な男を好演しています。
彼を慕う山本未來と小西真奈美の二人も良いですね。特に小西さんはとてもかわいい女性です。理想化されすぎていて実際にはこんな人いるかなあ、と思いますが。ただし、彼女の店が大森にあるってのは違和感。池袋からの行動エリアとしては遠すぎだし。もしかして泰造さんが東京に住んでいたときからの行き着けだったのか?
葵わかなは三人組アイドルをやっている設定。(他の二人は現役アイドルでNGT48の長谷川玲奈も出演。この子二年で最も顔が変わった子なので見違えました。)わかなちゃんは朝ドラの役どころは合わない気がして、こういうはっちゃけて見えるけど、内面に葛藤抱えていると言うのは良いと思います。
長塚京三の演じる元妻の父親は実は重要な役どころでした。バラバラになりかけていた家族をもう一度つなぎ直す芯の役割。彼は原田泰造にその役割を託したのです。
モチーフとして重要なのは関越トンネル。新潟ー東京を移動すると雪に降り込められた越後ー陽光降り注ぐ関東、と言う対比を否応なく感じさせられるのですが、画像として何度も関越トンネルが出てくるのにその辺の描写が弱い気がします。
2時間半と言う長さを感じさせない、ゆったりと時間の流れる佳作ですが、新潟人が冬の東京へ行ったときの余りにも光が溢れる光景に唖然としてしまう虚脱感みたいなものをもうちょっと描けたら良かったのになあ、と思います。まあ、それは新潟人でなければ描けないのかもしれません。

0