「響-HIBIKI-」
2018年 105分(東宝)映倫 G
監督:月川翔 製作:市川南/竹中幸平 プロデュース:佐藤善宏 企画:小野田壮吉 エグゼクティブプロデューサー:山内章弘 プロデューサー:神戸明 ラインプロデューサー:阿久根裕行 原作: 柳本光晴 『響〜小説家になる方法〜』脚本:西田征史 撮影:鍋島淳裕 美術:五辻圭 衣裳:新崎みのり 編集:穂垣順之助 音楽:伊藤ゴロー 音楽プロデューサー:北原京子 VFXスーパーバイザー:山口聡 アクションコーディネーター:吉田浩之 スーパーバイザー:秋元康 劇中曲:小島裕規
出演:
平手友梨奈(鮎喰響)/北川景子(花井ふみ)/アヤカ・ウィルソン(祖父江凛夏)/高嶋政伸(神田正則)/柳楽優弥(田中康平)/北村有起哉(鬼島仁)/野間口徹(矢野浩明)/小松和重(藤野弘)/黒田大輔(大坪正人)/板垣瑞生(椿涼太郎)/吉田栄作(祖父江秋人)/小栗旬 (山本春平)
上映館:イオンシネマ新潟西SC4
採点:★★★★☆
欅坂46のデビュー作「サイレントマジョリティー」は軍隊を連想させる制服に身を包んだ少女たちが、自らの乳房の上を平手で撫でる素振りで始まるという挑発的な作品でした。
大人たちの言いなりになるな、と歌っている彼女たちが軍服を着て分列行進をするという痛烈な逆説には少なからず違和感を感じたのですが、それこそが秋元康の仕掛けであり、欅坂46と言うグループはある意味大人たちが眉をひそめるような楽曲を歌っているように見受けられます。
その欅坂46の中心メンバー、と言うよりも彼女無くしては欅坂46は有り得ないというくらい存在感を見せる平手友梨奈初出演にして初主演作です。15歳にして文芸雑誌の新人賞を受賞してしまう天才少女の響は思ったことをずけずけ言うだけではなく、「殺そうか」と絡まれた男子の指をへし折るなど直接実力行使をしてしまう、直情的な性格です。
彼女を15歳のオンナノコと甘く見て接してくるオトナたちは例外なく手痛い打撃を食らいます。この直接的に打撃を与えるシーンにカタルシスを感じさせるのがこの映画の狙いでした。
「あなたの気持ちはわかるけど、暴力はいけないわ」などという生ぬるい言葉は彼女には通じません。このあとも彼女は我が道を進むのでしょう。
映画としては面白い訳ですが、実際に彼女のような人物か存在するかと言うと、ちょっと違和感を感じるところもあります。月に30冊も本を読むような人は、ああいう短絡的、直情的な行動は取らない気がします。読書はとても内省的な作業です。あらゆる人物のあらゆる行動が自分の血となり、肉となり、経験となるので非常に自省的になっていくように思います。
あのように他人が書いたのではないか、などと侮蔑的な質問をされても、軽妙な言葉で切り返してぎゃふんと言わせてしまうのではないでしょうか。まあそれじゃあ映画としては弱いですからね。
この映画は四の五の言わず、女子供と舐めて絡んできた糞野郎をぶちのめしてくれる響ちゃんにカタルシスを感じて観るのが正解だと思います。
http://hibiki-the-movie.jp/

0