「斬、」
2018年 80分(新日本映画会社)映倫 PG12
監督:塚本晋也 製作:塚本晋也 脚本:塚本晋也 撮影:塚本晋也/林啓史 美術:遠藤剛 衣裳:宮本まさ江 編集:塚本晋也 音楽:石川忠 サウンド:北田雅也 殺陣:辻井啓伺 時代考証:大石学
出演:
池松壮亮(都築杢之進)/蒼井優(ゆう)/中村達也(源田瀬左衛門)/前田隆成(市助)/塚本晋也(澤村次郎左衛門)
上映館:新潟市民映画館シネ・ウインド
採点:★★★☆☆
「野火」を撮った塚本晋也監督の4年ぶりの作品は時代劇です。幕末の農村で百姓の暮らしを手伝い、農民の若者に剣術を教える若い浪人都築。江戸で浪士隊を組織しようとする澤村に誘われるが、出立直前、村は野盗に狙われる。村人を守るために澤村は野盗を殺すが、村は報復される村娘のゆうは都築に仇を討つよう頼むが、都築は却って報復の応酬になるからと乗り気ではない。しぶしぶ澤村と二人で野盗の元に出向くが、この期に及んでも刀を抜くことが出来ず、ゆうが野盗に目の前で犯されても助けることが出来ない。結局澤村が野盗を斬り助け出す。翌朝、江戸への出立を前に姿をくらました都築を追った澤村は自らの力量を試すため、都築に勝負を挑む。
あくまでも刀を抜かない都築を平和ぼけの現代日本の象徴と見る考え方もあります。ただ、江戸末期の武士は、道場では強くても、実際の斬り合いともなれば、なかなか人を斬ることはたやすいことではなかったようです。塚本監督は「野火」で普通の人が極限状態で鬼に変貌する状況を描きましたが、ここでもそういうものを描こうとしているように思います。
まあ、主人公の都築は、好きな女を抱くことも出来ずに自慰をしているような男で、これではなかなか鬼になるのもたやすくはありますまい。自ら澤村を演じつつ、最近の若者を叱咤しているのかなあ、と思って観ました。
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