「閉鎖病棟 それぞれの朝」
2019年(東映)117分 映倫PG12
監督:平山秀幸 原作:帚木蓬生 脚本:平山秀幸 製作:村松秀信/間宮登良松/木下直哉/宮崎伸夫/中野伸二/吉村和文/丸橋哲彦/植田勝教/中林千賀子 プロデューサー:菅谷英智/三宅はるえ 音楽プロデューサー:津島玄一 ラインプロデューサー:宮内眞吾 撮影:柴崎幸三 美術:中澤克巳 衣装:岩崎文男/小磯和代 編集:洲崎千恵子 音楽:安川午朗 主題歌:K VFXスーパーバイザー:オダイッセイ
出演:
笑福亭鶴瓶(梶木秀丸)/綾野剛(塚本中弥=チュウさん)/小松菜奈(島崎由紀)/坂東龍汰(丸井昭八)/平岩紙(キモ姉)/綾田俊樹(ムラカミ)/森下能幸(ダビンチ)/水澤紳吾(ハカセ)/駒木根隆介(テッポー)/大窪人衛(フーさん)/北村早樹子(オフデちゃん)/大方斐紗子(おジギ婆さん)/村木仁(ドウさん)/片岡礼子(島崎佳代)/山中崇(島崎伸夫)/根岸季衣(塚本富子)/ベンガル(酒井)/高橋和也(大谷)/木野花(石田サナエ)/渋川清彦(重宗)/小林聡美(井波)
上映館:ユナイテッドシネマ新潟SC10
採点:★☆☆☆☆
「カッコーの巣の上で」のような、患者と健常者、いったいどちらがまとも?と言うようなドラマを期待したのですが、全然期待はずれでした。結局何が撮りたかったのか最後までわからない映画でした。
死刑を執行されたものの蘇生してしまい、その後精神病院をたらい回しにされている男を中心に精神病院の内情を描く、のですが、その患者の描写がいかにも作りもの。一般の人が精神病院の患者はこうだろう、と考える類型を散りばめただけ。
現代の精神病院はもっとシステマチックで綺麗だし、昔の精神病院を描くのならもっと拘束的にしなければならないでしょう。思うに、実際の精神病院を撮影場所として提供してもらっている関係で生ぬるい、中途半端な描写になっているのだと思います。
笑福亭鶴瓶の演技が良いか、と言うと、鶴瓶はあくまでも鶴瓶の演技で、「ディア・ドクター」のような優れた演技とまでは言い難い。小松菜奈は例によって大根ですが、表情を見せないお人形のような役柄なので、かえってその大根ぶりが合ってました。
綾野剛が映画の狂言回しとして重要な役どころですが、難しかったですね。それは役者の責任というよりは脚本と監督のせいでしょう。この映画、監督がひとりで脚本書いてますが、それがそもそもの失敗の気がします。共同脚本ならもう少し違う視点からのアプローチもあったかも知れません。
小松菜奈が義理の父親から性的暴行を受けているのを知っている母親の描き方も不自然な感じだし、院内で暴行を受けてから行方不明になった後の状況を、裁判所のシーンで長々と回想シーンで見せるのはいらいらします。その回想シーンが現在につながっていないのだから、暴行シーンの後に持って来た方がいいでしょう。
と言うわけで、監督がこの映画で描きたかったのはいったいなんなのかわからず、暴行シーンだけが印象的な後味の悪い映画でした。
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