「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」(Little Women)
2019年 アメリカ(ソニー・ピクチャーズ) 135分 映倫:G
監督:グレタ・ガーウィグ 製作:エイミー・パスカル/デニース・ディ・ノビ /ロビン・スウィコード 製作総指揮:アダム・メリムズ/エブリン・オニール/レイチェル・オコナー/アーノン・ミルチャン 原作:ルイザ・メイ・オルコット 脚本:グレタ・ガーウィグ 撮影:ヨリック・ル・ソー 美術:ジェス・ゴンコール 衣装:ジャクリーン・デュラン 編集:ニック・ヒューイ 音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:
シアーシャ・ローナン(次女ジョー)/エマ・ワトソン(長女メグ)/フローレンス・ピュー(四女エイミー)/エリザ・スカンレン(三女ベス)/ローラ・ダーン(母)/ティモシー・シャラメ(ローリー)/メリル・ストリープ(マーチ叔母)/トレイシー・レッツ(ミスター・ダッシュウィッド)/ボブ・オデンカーク(父)/ジェームズ・ノートン(ジョン・ブルック)/ルイ・ガレル(フリードリッヒ・ベア)/クリス・クーパー(ミスター・ローレンス)/ジェイン・ハウディシェル(ハンナ)
上映館:ユナイテッドシネマ新潟#1
採点:★★★★★
ストーリー・オブ・マイ・ライフとか付いた邦題を見るとつい、若草物語の作品が出来た背景を描いた実録ものかと勘違いしてしまいますが、原題はあくまでも(Little Women)で若草物語そのものです。最後にフィクションである旨のお断り書きも出ます。
色々な意味でトリッキーな作品です。若草物語は過去の名作も観ていないし、原作も読んでいないのですが、様々なエピソードは原作にあるものらしいです。
ニューヨークで作家活動を続けるジョーの現在と、過去の追想がストーリーを行き来するのですが、父親の看病に向かう母親の旅費を工面するためにジョーが髪を切るシーンがあるため、ジョーの髪型を見ることで、ストーリーがいつの時点を描いているのか判るという絶妙の仕組みに気づくと混乱しません。
この映画の主人公はジョーとエイミーという2人の気性の激しい姉妹と、そして2人を愛することになるローリーの三角形が基本です。そこに女の幸せは金持ちと結婚する事であると喝破するマーチ叔母がスパイスです。
小説家への夢のためには結婚は障害だと感じるジョーの現実は、19世紀からはるかな21世紀の現代においても依然として変わっていないことを、特に女性の観客は強く感じると思います。
四女のエイミーはマーチ叔母の教えに従い、パリで金持ちの結婚相手を物色しますが、結局は金持ちでしかも身近なローリーという最良のパートナーを得ます。
ジョーは自分がローリーを愛していると気づきますが、その時には既にローリーは妹と結婚してしまいます。しかし、彼女にもふさわしい結婚相手が見つかります。
なあんだ、結局女の幸せはやっぱり結婚かよ、っていう結末。でもそれは出版社の指示なんですね。
さて、ジョーが21世紀に若草物語を書いたとしたら、どんな結末になったんでしょうか。この映画が単なる若草物語のリメイクでないのはこのメタ的な構成にあります。
ハッピーエンドでめでたしめでたし、と思うのはそれは監督の罠かも知れません。さすが「レディ・バード」のグレタ・ガーウィク監督、一筋縄では行かないようです。
それはそれとして、やはり若草物語は実力ある女優陣の演技が見ものです。ジョー役のシアーシャ・ローナンは「レディ・バード」で多感な少女を演じた実力者。エイミー役フローレンス・ピューは「ミッドサマー」で一躍注目を集めました。2人はアカデミー賞にノミネートされました。
得てしてこういう作品はアカデミーでは衣装デザイン賞のみ受賞でしたが、確かに19世紀の衣装は見応えがありました。当時の風俗を知るという点でも、興味深い作品でした。
https://www.storyofmylife.jp/

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