「窮鼠はチーズの夢を見る」
2020年(ファントム・フィルム)130分 映倫:R15+
監督:行定勲 原作:水城せとな 脚本:堀泉杏 プロデューサー:長松谷太郎/吉澤貴洋/齋藤Sunnyしゅん/新野安行 共同プロデューサー:金吉唯彦 撮影:今井孝博 照明:松本憲人 録音:伊藤裕規 美術:相馬直樹 装飾:湯澤幸夫 編集:今井剛 音楽:半野喜弘 音響効果:岡瀬晶彦
出演:大倉忠義(大伴恭一)/成田凌(今ヶ瀬渉)/吉田志織(岡村たまき)/さとうほなみ(夏生)/咲妃みゆ(大伴知佳子)/小原徳子(井出瑠璃子)/小柳友/国広富之
上映館:TOHOシネマズ池袋#7
採点:★★★★☆
【ネタバレあり注意】
映画の登場人物は品行方正よりも下衆な奴の方が面白い。本作の主人公、恭一もかなり下衆な男である。妻の目を盗んで仕事先の瑠璃子と浮気セックスをしています。
その現場写真を持って現れた探偵は、大学時代の後輩今ヶ瀬でした。彼は恭一が自分とキスをしてくれる事を条件に調査内容を秘匿すると言います。実は今ヶ瀬は大学時代から恭一に恋して居たのでした。
その事をきっかけに今ヶ瀬は恭一と関係を迫ります。一方瑠璃子との浮気も止められない恭一。しかし恭一は妻から突然離婚を言い出されます。妻は一年前から別の男性と関係を持っていたのでした。
独身となった恭一は今ヶ瀬と半同棲のような状態となりますが、今ヶ瀬は本気で恭一が自分を好きになったわけではないことを知っており、焦燥感にかられます。
そんなところに恭一の元の彼女の夏生が現れ、2人の関係を見抜き、恭一にどちらを選ぶか迫ります。さて、恭一が選んだのは…
今ヶ瀬が女性であれば1人の男を巡る女の争いの映画である話です。しかしそこに男性が絡むことによって話は複雑になったように見えます。しかし、それは観客の勝手な思い込みなのかも知れません。
恭一という男は、自分からこうしたいと言う意識の希薄な人間であり、言い寄ってくる相手をすべて受け入れてしまうような人間です。それはとてもピュアな事なのかも知れません。しかし、そのことが周囲の人間にストレスを与えてしまうのでしょう。
恭一と今ヶ瀬のセックスのシーンが2回出てきますが、一度目は恭一がウケで二度目はタチであるのは、2人の関係がイーブンで有ることを物語っていると考えると興味深く思います。
それはヘテロセクシャルの恋愛映画がどうしても男性上位のストーリーになりがちである事へのアンチテーゼなのかも知れないと思いました。
https://www.phantom-film.com/kyuso/

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