「ミュジコフィリア」
2021年 (アーク・フィルムズ) 113分 映倫:G
監督:谷口正晃 原作:さそうあきら 脚本:大野裕之 プロデューサー:大野裕之 企画:榎望 チーフエグゼクティブプロデューサー:柴田真次 製作代表:井筒與兵衛/松下浩章/齋藤真也/西澤竜平/小室元/伊藤耕一郎/高橋聖宗/兼元秀和 撮影:上野彰吾 照明:宮西孝明 美術:金勝浩一 録音:小川武 編集:栗谷川純 衣装:宮本茉莉 音楽プロデューサー:佐々木次彦 音楽:橋爪皓佐/池内奏音/宮ノ原綾音/長谷川智子/植松さやか/小松淳史/大野裕之 主題歌:松本穂香「小石の歌」》 主題歌(詞・曲):日食なつこ 主題ピアノ曲:古後公隆
出演:
井之脇海(漆原朔)/松本穂香(浪花凪)/山崎育三郎(貴志野大成)/川添野愛(谷崎小夜)/阿部進之介(青田完一)/石丸幹二(貴志野龍)/濱田マリ(椋本美也子)/神野三鈴(漆原君江)/縄田カノン/多井一晃/喜多乃愛/中島ボイル/佐藤都輝子辰巳琢郎/茂山逸平/大塚まさじ杉本彩きたやまおさむ/栗塚旭
上映館:ユナイテッドシネマ新潟#9
採点:★★★★★
同名のマンガの実写映画化です。京都の芸術大学の美術学部に入学した主人公が現代音楽研究会の青田に強引に連れられていった先で鴨川に弦を渡し、風で音を出す“楽器”を中心に即興演奏をするというオープニングはなかなか見事。ともすれば敬遠されがちな現代音楽の世界に観客をスムーズに誘導して行きます。
青田というキャラクターは最もマンガ的な人物でちょっとやりすぎ感はあるのですが、作品を強引に推進していく重要なキャラクターで、後半はあまり出なくなりますが。
映画の中心的なストーリーは作曲家を父に持つ異父兄弟の感情的対立で、父親の英才教育を受けて育ち、今や芸術大学を代表する作曲家となっている兄と、父親から才能がないと言われ、言わば棄てられた妾腹の弟の対比が軸になります。
弟の朔にとって、兄の大成はバイオリニストである幼なじみの小夜と付き合っており、すべてを持っている存在。一方自分は棄てられた存在というコンプレックスから音楽の道に進むことは断念しています。しかし唯一、同級生の凪は朔の才能を見抜いています。
朔の才能を見抜いたのは凪だけでなく、サークルの顧問もやっている椋本先生も朔の天才的な才能を見抜いてそのことをポロリと大成に話します。今まで自分の才能が絶対的なものであると信じていた大成に疑念が生じた瞬間でした。そして一つの鍵が2人の人生に大きな影響をもたらすことになるのでした。
映画は朔と大成と幼なじみの小夜という三角関係が主旋律となり、そこに凪というちょっと変わった女子が絡んで行きます。この子が急に「小石のうた」を歌うシーンはまるでミュージックビデオのようだと批判もありますが、この歌はこの映画の大きな魅力となっていると思います。これを好ましいと思うか否かで評価は大きく違って来るようです。
この他にも色々現代音楽を演奏するシーンもおおく、自分は意外にも結構楽しく観られました。もちろんバッハのゴールドベルク変奏曲やブラームス交響曲第1番などクラシックの名曲の演奏シーンも沢山あります。
いま旬な若手の伸び伸びとした演技を観ているだけでもなかなか楽しい映画でした。
2021/12/1 17:00(2021108)
https://musicophilia-film.com/

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