「ICHI」
2008年 日本 ワーナー配給 120分 ヴィスタサイズ (PG-12)
監督:曽利文彦 製作:気賀純夫/小岩井宏悦/島本雄二/山岡武史/入江祥雄/當麻佳成/堀義貴/後藤尚雄/遠藤和夫 プロデューサー:東信弘/吉田浩二/梅村安 エグゼクティブプ
ロデューサー:遠谷信幸 企画:中沢敏明 原作:子母沢寛 脚本:浅野妙子 撮影:橋本桂二
美術:佐々木尚 音楽:リサ・ジェラルド/マイケル・エドワーズ 主題歌:SunMin『Will』
VFXスーパーバイザー:松野忠雄 殺陣指導:久世浩
出演:綾瀬はるか/大沢たかお/中村獅童/窪塚洋介/利重剛/佐田真由美/杉本哲太/横山めぐみ/渡辺えり/島綾佑/柄本明/竹内力
上映館:ワーナー・マイカル・シネマズ新潟(スクリーン6)
採点:★★★
座頭市を女性のはなれ瞽女(ごぜ)に置き換えたところがミソ。綾瀬はるかの熱演でまずまずの映画に仕上がった。瞽女は昭和40年代まで新潟地方に残っていたが、江戸時代には全国に広がっていたという。男と関係を持った女は瞽女仲間から放逐されるというのは水上勉の「はなれ瞽女おりん」の設定であり、本当にそういうしきたりだったのかはわからないけれども、この映画では剣術を身に着けたことと美しすぎる容貌をもっていたことが市の悲劇であったのだと思う。
ただし、そういう市をめぐる諸々は映画を進める上での味付けにすぎず、基本的にVFXを駆使した過激な殺戮シーンこそがこの映画の描きたいことだったようにも感じられるのだ。有名な股旅物の主人公を女性に移し変えた作品としては、木枯らし紋次郎をベースにしたと思われる「笹笛お紋」(1969年大映、監督:田中徳三、主演:安田道代)があり、こちらのほうが自分の非力ゆえに悪をのさばらせてしまう悲哀がにじみ出ていたようにも思う。

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