今日は、艇庫清掃を実施しました。
ご利用いただいています皆様にもお手伝いいただきとても綺麗になりました。
誠にありがとうございました。
また、昨日からモスウィンターレガッタが開催されています。
セールに風を受け、波を切って水面を滑走するセーリングの概念を覆すヨットがある。蛾のマークが目印のモス級は、水面から浮き上がって走る新タイプのヨットだ。接水部分が極めて少ないため、船に波が当たる音はまったくない。静かに空を飛ぶ、という形容がぴったりである。
ヨットが空を飛ぶ理由は、船体から水中に伸びる水中翼を備えているため。この水中翼は飛行機の翼のように左右に伸び、離着陸時に使われるフラップと同じく可変する。スピードが上がると水流により揚力が生まれ、水中翼のフラップで浮遊を調整するという仕組みだ。浮き上がるために船体は極限まで軽量化され、最新のモス級の重量は30kgを切るものが主流になっている。
水中翼を備えたモス級が公に登場したのは、2000年にオーストラリアで開催された世界選手権でのこと。しかし、世界選手権の結果は画期的な性能と反対に惨敗だった。スピードは圧倒的だったものの、操船がむずかしさから、すぐにバランスを崩して倒れてしまったのだ。結果は悪かったが、空を飛ぶという新しい発想と過激なスタイル、そしてスピードは多くのセーラーを魅了し、モス級は世界に浸透していった。
また、通常のヨットレースは、指定のブイをまわり、フィニッシュ時の着順で競われるコース競技が主流だが、モス級の大会では、コース競技のほかに、GPSで最高速度を競うタイムトライアルもおこなわれている。いかに同じ条件でスピードを競うか、というのもこれまでにはないヨットレースの発想だ。
モス級の世界最高速度は30ノット強(時速55.6キロ)。陸上ではそれほど感じられないが、水の上では恐怖すら感じるスピードである。水中翼を備えて空に飛び立ったモス級は、あらたな時代を開いた。次なる進化で、ヨットの姿はどう変わっていくのか楽しみだ。(2011.5 文/平井淳一)



2