□「吉田明彦氏」のキャラクターデザイン
RPGで何を重視するかは人それぞれだと思いますが、私にとってはRPG世界
をいっしょに「旅」をするキャラクターが重要な要素です。スクエニの
吉田明彦氏がデザインするキャラクターのもつ雰囲気は感覚的な表現にな
りますが、デジタルな表現ではない、パステル画のような柔らかさ、暖か
さがあって、「当代随一の絵師」だと思っています。
そんな吉田氏のキャラを最大限にいかしたRPG「ブレイブリーデフォルト」
にふれたのが、2011年の東京ゲームショーのスクエニ・ブース。同時に
展示されていた「FFXIII-2」と「FF零式」の「今風で派手」なデザインと
全く違う世界観でキャラクターは、一目で「吉田明彦のRPG」とわかるも
のでした。試遊後に「とてもよかった」と答えたときのスクエニのスタッ
フの嬉しそうな表情が今でも印象に残っています。
□「ブレイブリーデフォルト」の「王道と進化」
「ブレイブリーデフォルト」のコンセプトは「王道ファンタジー」。吉田
氏のキャラクターに加え、戦闘システムもかってのRPGのようなコマンド
入力によるターン制バトル。「複雑になりすぎた」最近のRPGに食傷気味
だったRPGファンに広く受け入れられたようです。
もちろんしっかり「進化」もとげていて、ターンごとに行動回数を増やせ
る「ブレイブ」と行動を保留し「ブレイブ」できる回数「BP(ブレイブポ
イント)」を増やす「デフォルト」を組み合わせたシステムはシンプルな
がら奥が深いです。
戦闘の開始時は「BP=0」なのですが、「ブレイブ」を選んで「BP=-1」に
して2回行動できるというわけです。「さすがスクエニ!」ですね。
□「Dの手帳」
最近のRPGは操作キャラクターが何人もいてそれを入れ替えてゲームを進
めていく方式が主流ですが、「ブレイブリーデフォルト」は最初から最後
まで、主人公の素朴な少年ティズ、「風の巫女」アニエス、主人公たちと
敵対する「エタルニア公国元帥の娘」イデア、そして過去の記憶のない
リングアベルの4人の固定メンバーで物語が進んでいきます。
「Dの手帳」はそんなリングアベルがもっているアイテムでなぜか未来の
出来事が断片的に記載されているという設定。物語が進むにつれて各地
でリングアベルが体験したエピソード、出会った人物、モンスターなど
が事細かに書き込まれていく、芸の細かい作りになっています。
「モンスター図鑑」的な要素をもたせてコンプリートを誘導するゲーム
は多いですが、「Dの手帳」はリングアベルの主観視点で記載されている
のがミソ。
次回からは女好きでちょっとチャラいリングアベルの目線で「ブレイブ
リーデフォルト」の物語を進めていくことにしましょう。
(「Dの手帳」の物語は続く)
※「おとゲー」2013/1/13号掲載

0