「攻略日記外伝」では、「あびょん風攻略日記」とはちょっと違った
「きわめて私的なレビュー」(私的度が通常の5割増?)を私とゲームの
関係を軸にお届します。
今回は、PC(Windows)版が絶大な支持を受けDC移植版が発売された
の「AIR」(Key/NECインターチャネル)をお送りします。
■「Kanon」の感動
「AIR」は、1999年に発売され大ヒットとなった美少女AVG、Windows
版「Kanon」で一躍大ブレイクしたKeyブランドの第二作にあたります。
「Kanon」は、その切ないストーリーと桶上いたる氏の創造した美少女
キャラの愛らしさ、そして華麗はBGM によってギャルゲーに「泣きゲー」
ブームを巻き起こしました。昨年発売されたDC版では豪華な声優陣を
起用して私もその感動をわけてもらいました(「おとゲー」第57-59号)。
切ないストーリーと絶妙のグラフィック、BGMの創り出す「Kanon」ワー
ルドで味わった感動は今も新鮮です。
「AIR」のPC版は昨年リリースされ、これまた大ヒット。残念ながら
CV(キャラクターボイス)がなかったため、フルボイス化されるのを心待
ちにしてました。ようやくDC版が登場したので早速ゲットした次第
です。「Kanon」のあの感動をもう一度!
■Dream編、Summer編、Air編
「Kanon」は1つのストーリーが分岐していくAVGとしてはオーソドック
スな構成でしたが、「AIR」はちょっと変則的な3部構成になっています。
最初に選べるのはDream編だけ。この中の条件分岐により3人の少女−
神尾 観鈴(かみお みすず)、遠野 美凪(とおの みなぎ)、
霧島 佳乃(きりしま かの)−の個別のストーリーが展開されていきます。
3人の少女のストーリー全てのトゥルーエンドにたどりつくと、Summer編
が選択できるようになります。Summer編は分岐なしの一本道のお話で、
このエンディングを経てようやくAir編が選択可能になります。
おまけ要素として各少女ごとのCGとゲーム内で使用されたBGM(主題歌、
エンディングテーマ、挿入歌を含む)を鑑賞することができます。
■海辺のちっぽけな町
季節は夏。母親から譲り受けた不思議な力で人形をあやつる青年、
国崎 往人(くにさき ゆきと)は旅の途中に海辺の小さな町にやって
きた。往人は、亡き母が語ってくれた「ずっと昔から空にいる翼をもつ
少女」を探し歩いていたのだ。文無しになってしまった往人はしばらく
この町でお金をかせごうとするのだが...
***
Dream編は往人の視点で物語が語られていきます。例によってかなり
ユニークな少女たちとのテンポのよい会話がポンポンとつみかさねられ
て笑いを誘ってくれます。
■美凪(みなぎ)
往人は今はもう使われなくなった駅で、小さい少女といっしょにシャボン
玉遊びをしている長身の美少女に会う。なかなかうまくシャボン玉を
ふくらませない小さな少女−みちるを長身の少女はは優しく見ていた。
彼女はゆっくりと「美凪」という名前を名乗った。往人は毎日、美凪、
みちると幸福な時をすごすようなったのだが...
***
美麗という点では、美凪は圧倒的です。そして彼女の周りの時間がゆった
り流れているような、ゆっくりした口調。みちるに対する深い愛情。
星が好きな美凪はたった一人の天文部の部長。その美しさと彼女がかかえ
る闇の深さのギャップが味わいを生み出します。初めて往人が美凪を
送っていくシーンの驚きは「美凪」ストーリーの白眉でしょう。
■瞳が伝える感動
「Kanon」の攻略日記でも書きましたが、桶上いたる氏が描くキャラは
その巨大な目と表情に特色がります。PC版でもCVがあるゲームは口元が
音声に応じて動くのが一般的ですが、美凪や佳乃は口が動かない代わり
に目を表情が実に細かく変化してその女の子の思いを表現します。
そしてその「目」が、Key独特のセリフ回し、すぐれたBGMと融合して
なんともいえない「感動」を紡いでいくのです。
(「感動」は後編に続く)
※「おとゲー」 2001/11/16号掲載

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