第七章 クリス立つ
クリス立つ
クリスたちはチシャクランに戻ったが、
そこにはハルモニアの大軍が進撃してきていた。
急ごしらえのゼクセン、グラスランド連合軍は全くまとまらず敗北、
ダッククランさらにブラス城まで退却した。
ブラス城には負傷兵があふれた。
誰もがうつむき重苦しい空気が城を支配していた。
これではいけない。
クリスは立ち上がり高らかに宣言した。
「私は炎の英雄を継承した。過去の確執を忘れ、
今は愛するこの地と愛する家族を護ろう!」と。
兵士たちの顔に生気がよみがえった。
ゼクセン連邦とグラスランドの間に休戦協定が結ばれ、
連合軍はハルモニア軍の撃退に一旦成功した。
本拠地
戦いの継続のためには本拠地がいる。
それもゼクセン連邦とグラスランドの中間がいい。
クリスの問いかけに
「だったら僕の城を使ってください。」
ビュッデヒュッケ城の城主、トーマスが応じた。
早速クリスたちはビュッデヒュッケ城に移り着々と戦闘態勢を整えるのだった。
ゼクセンとグラスランドの兵士たちがいっしょに戦闘の準備をしているのは
ちょっと妙な光景だな、とクリスは思った。
シンダル遺跡
「シンダル遺跡にある真の水の紋章が危ない。」
軍師として仲間に加わったシーザーの言葉を受けてクリスたちは遺跡に急行した。
遺跡の内部を進んでいくと突如、冷気があたりを覆い一面が凍りついた。
「真の水の紋章」が暴走を開始したのだ。
紋章を奪取しようとしたルックたちも捨てゼリフを残してひきあげていった。
「このままでは...」クリスは祈りをこめた。
意識が遠のき、クリスはユンの姿をみたような気がした。
気がついたとき、紋章の暴走はとまていた。
奪われる真の紋章
クリスは唇をかみしめた。目の前には青い服の女、セラがいた。
アルマ・キナンに向かっているはずだった。が、まんまとおびき出されたのだった。
ふいをつかれたクリスの手からは「真の炎の紋章」が奪われてしまった。
同じころ、ルビークに向かったゲド一行、
そして留守を預かっていたヒューゴたちも窮地に陥っていた。
ルックたちの駆使する秘術によってまんまと真の水、雷の紋章も奪われた。
(次回、最終章に続く)

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