□「ぬらりひょんの孫」の「妖怪+任侠」
次女のマリン(高1)は大の「少年ジャンプ」ファン。「ONE PIECE」、
「NARUTO」、「銀魂」...ときて最近アニメを録画してみているのが
「ぬらりひょんの孫」。1990年代の「地獄先生ぬーべー」のような
「学園+妖怪」ものかな?と思っていっしょに見始めたら...
主人公の奴良リクオは一見どこにでもいる中学1年生なんですが、実は、
東日本の妖怪を束ねる「奴良組(ぬらぐみ)」の組長「ぬらりひょん」の孫
で人間妖怪のクオーター。東北や四国の地域ごとにそれぞれの地域に「妖怪
任侠」一家が縄張りをかまえて数百年前から抗争を続けているという設定が
ユニーク。昼は大人しいリクオが夜には妖怪の血が発現して強く、凛々しく
変身。「妖怪+任侠」という新たなジャンルを切り開いた作品なのでした。
□「雪女」と「陰陽師」
設定はユニークですが、ストーリーは王道。主人公のリクオがクラスメイト
や「奴良組」を力をあわせて敵を打ち破っていくという「正統」な少年ジャ
ンプコミック。
と、くれば当然可愛いヒロインの出番。本来ならクラスメイトで幼馴染の
家長カナなんでしょうが、それ以上の存在感があるのがリクオの側近で雪女
の氷麗(つらら)。 金色のグルグルした瞳と白い着物が実にキュート。
そしてもう一人。京都陰陽道の頂点に立つ花開院家本家の娘、陰陽師の
花開院(けいかいん)ゆら。素晴らしい才能をもっているのにちょっとドジ
っ子なところもあっていい味でてます。
□「妖狐」の「妖艶」
作者の椎橋寛氏は「ジョジョ」シリーズの荒木飛呂彦の元アシスタントだっ
たそうで、そのせいか躍動感あふれる「画面」は見事です。背景の描写、
人物、妖怪の造形も秀逸で楽しめます。
妖怪の中で際立って美しいのが羽衣狐(はごろもぎつね)。 京都の妖怪を
統べる女狐の大妖怪。人間の生き胆を食べて、「鵺(ぬえ)」を生むとい
う点は不気味なのですが、現生で転生したその姿−長い黒髪、涼やかな眼差
し、真っ黒なセーラー服が絶妙。その「妖艶」にノックアウトでございます。
少年ジャンプ本誌の連載はまさにこの羽衣狐との戦いのど真ん中で毎週
マリンが買ってくるジャンプを楽しみにしている今日この頃なのでした。
※「おとゲー」2010/10/9号掲載

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