■「怪異」と「饒舌」
直江津高校3年生の阿良々木暦(あららぎこよみ)、文化祭の準備をしてい
た5月のある日、階段から転落してきた同級生の戦場ヶ原ひたぎをうけとめ
た。が、彼女にはほとんど重さがなかった...
西尾維新作のライトノベル、「化物語」。阿良々木暦が出会う「怪異」と
美少女たち。蟹に体重を食べられた戦場ヶ原ひたぎ、左手を猿に憑かれた
神原 駿河(かんばる するが)、蛇の呪いにあった千石撫子(せんごくなで
こ)...
マリン(次女)がみていたアニメをみて、その世界の美しさ、日本画のよう
な、それでいてシュールな描写と暦と少女たちの「饒舌」な会話の楽しさに
すっかりはまってしまいました。暦と少女たちの会話はまるで夫婦漫才の
かけあい(それもかなりブラックな)。暦の声をあてる神谷浩史 も絶品で
「夏目友人帳」とはまたちがった魅力全開です。
■「バトルパート」の「キメ顔」
「鬼のお兄ちゃん。知ってるんだったら教えてよ。僕の知りたい道のこと。
−僕はキメ顔でそう言った。」
アニメから原作のラノベへ。いつものパターンなんですがこの原作。上下巻
でしかも二段組み。その上、文庫版はなくてお高い...しかしその価値は
ありました。グイグイ引きずり込まれて、ほぼ一気読み。勢いで続編の
「傷物語」「偽物語」も読了。既刊の「猫物語」「傾物語」「花物語」も時
間の問題でしょう。
原作では特に「ギャグパート」の楽しさと怪異と対決する「バトルパート」
のギャップの大きさが素晴らしいです。「偽物語」に登場した憑藻神
「斧乃木余接」の口癖じゃないですが暦やひたぎたちの「キメ顔」(キメ
言葉)の輝きには胸が踊りますね。「怪異」の専門家、忍野メメや貝木泥舟
(かいきでいしゅう)たちもいい味だしてます。
今年の年末予定の「恋物語」でシリーズは完結するようですが、まだまだ
読み続けたい、そんな作品です。
※「おとゲー」2011/4/9号掲載

0