上原二郎は元過激派の父を持つ小学6年生。いつも家にいて小説を書いている父親は国家権力にはとことん反発する変わり者。年金・税金は払わない、学校に行かなくていいと言う、などなど。
そんな父に翻弄される家族を、二郎の視点で軽快に描くエンターテイメント作品。
とても楽しい作品でした。
そして、やはり唸るほど筆力がありますね。
小学生が主人公ということで、第1部では小学生なら誰もが経験しそうな日常を中心に描かれているのですが、不思議なくらい二郎の心理に共感できました。
扱い方によっては暗くなりそうな設定も、独特の軽快なタッチで楽しい冒険譚にしてしまうのです。
そしてなんと言っても魅力的なのがお父さん。
一般常識の通用しない、子供の視点からすると恥ずかしい父親なのですが、読み進めていくうちに、どんどん好きになってしまいます。
そしてそんな父親を認める二郎君も素敵な男の子です。
第2部で、変な外人のベニーさんが登場したときには、またギャグ路線にいってしまうのかと心配しましたが、ラストまでかっこよく決まりました。
読んでるときは面白さを優先して読んでいましたが、読み終わってみるといろいろ考えさせられることも多い作品でした。

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