横断隊が無事祝島に到着して4日が経った。ツアーを一本開催し、手のひらに多数できた血豆もようやく薄皮が張ってバイトのふぐも触れるようになった。ようやく疲れも取れた感じもする。
今年の横断隊は天候に恵まれた。海況に関する印象は薄い旅ではあったが3回目の今年もいろいろな経験と勉強をさせて頂いた。
一回目の一昨年は隊全体が手探りの状態だったと思う。荒天に阻まれ小豆島まで到達することは出来なかった。2回目の昨年は、前年の反省を踏まえ小豆島に絶対に到達してやるんだという意思があった。隊の技術・精神レベルも高く話さずとも分かり合える共通意識があった。個々が自己責任に於いて行動し結果、小豆島に到達した。
そして今年、3回目の遠征はガラリと変わった。マスコミの同行取材、女性隊員の参加、一般パドラーの参加も増えた。出発時は15〜6人の隊員がいたと記憶している。それはそれでいいことだと僕は思う。横断隊の意義がブレるわけでもないし、多くの人がそれを感じていくことは瀬戸内文化の復興にもつながるとも思う。
今回、僕が痛烈に感じたのは「共同体の中の自分」であった。いろんな人の考えや思惑が交錯して隊は進んでいった。ペースはとても高速でどちらかといえば僕は傍観しながらついていったという感じだろうか。
祝島に到着したときに隊長がこういったことが印象的だった。
「みんなの想いが水を通して伝わってくるんだよなぁ」
海の上という特殊な環境、しかも旅を続けながら横断隊は一つの社会を創り上げていたように思う。
あたりまえかもしれないが僕にはとても新鮮に思えた。遠征隊で社会ができるなんて!
ホクレア号も言っている。「カヌーは一つの共同体であり地球である。そして地球は一艘のカヌーである」と。
今年は横断隊という一隻のカヤックの中で僕達は旅を続け祝島まで漕ぎきったのだ。
そういった意味では大変な遠征隊であった。
だからとても疲れた。でも人としてまた大切なことを隊員のみんなから、そして海からまた一つ教わったような気がする。
来年はどうなるのだろう?隊長は10年は続けるといっているので、これからどんな事が待ち受けているのか、もう既にワクワクしてしまうのである。
なにはともあれ隊員のみなさん、そして支援サポート、応援をして頂いたみなさん本当にお疲れ様&ありがとうございました。
また来年お会いできる日を楽しみにしております。


0