米国共和党の大統領候補マケイン上院議員がリーバーマン上院議員との共同論文を読売新聞社に寄稿した。その全文を読んで私は益々マケイン贔屓になった。リーバーマン氏は若しマケイン氏が大統領になれば国務長官就任が予想されている大物議員である。
論文はアジア戦略に焦点を合わせているが、マケイン氏は日本、韓国、豪州との同盟関係を優先し、特に日米同盟を最も重視するとして、中国重視路線の民主党との違いを鮮明にした。氏は日米同盟こそアジア太平洋地域の平和や繁栄における掛け替えの無い支柱であると定義して、日本に対しては政治力、経済力、自衛力に見合った国際的な役割を果す様促し、一層の負担を求めその上で安保理常任国入りを支持すると書いている。
ブッシュ政権は民主主義と言う価値観を共有する国との関係強化を図ってきたから、マケイン氏のアジア外交はブッシュ氏の価値観外交路線を基本的に踏襲している。中国重視を打ち出しているヒラリー、オバマの民主党路線とは明らかに差別化したことで、本選の大きな争点になるだろう。民主党も共和党もお互いのいいとこ取りを競い合った結果政策は似たり寄ったりになって違いが良くわからない。せめてアジア外交や環境政策で差別化して貰わないと有権者は選択に迷うだろう。
論文は北朝鮮問題で日本人のみならず韓国人の拉致問題にも触れて、決して忘れてはならないと重視する姿勢を示した。中国に対しては封じ込めたり孤立化させるのではなく責任ある利害当事国として国際社会に取り込む事を主張しているが、その為にも日米同盟関係の強化が必須だとしている。オバマ氏も中国に国際規範を守るよう求める点では同じであるが、従来の同盟の枠を超えた新しい東アジア安保体制の構築を提唱しており中国を中心に据える点でマケイン氏とは異なる。
ブッシュ政権で対日政策の要だったアーミテージ氏やグリーン氏がマケイン陣営に駆けつけたことが論文の背景にあると思う。ご両人は知る人ぞ知る日本贔屓であり最も頼りになるブレーンである。
米有権者も民主党内のコップの中の争いにそろそろ嫌気がさして共和党に傾く人も増えていると言うから、ひょっとするとマケイン氏の逆転勝ちも可能である。ヒラリーさんの目がなくなっただけでも良しとしなければいけない。オバマ氏が候補に選ばれても本選では反黒人の本能がどこかで出て、黒人大統領誕生に歯止めが掛かると観ている。人種差別の歴史は簡単になくなるほど軽いものではない。

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