米下院が緊急経済安定化法案を否決した。法案の柱は約74兆円の公的資金を投入して金融機関から不良資産を買い取るもので金融危機に歯止めを掛けるのが趣旨だった。政府と議会幹部が修正案で合意していたからまさか否決されるとは思わなかった。
金融機関の救済に税金を使う事には国民の大半は反対で、議員宛に抗議のメールが殺到したと言う。下院議員は全員来る11月に改選されるから、選挙民の意向を無視出来ず、造反する議員が続出したのだろう。国際金融危機を回避する国家責任と選挙民の意志との板ばさみに会って結局議席を優先した訳で、国会議員の資格は無い。これは由々しき事態である。
間もなく下院は審議を再開して一部修正を加えて可決を目指すが通る保証は無い。金融の先行き不透明感からMY株は過去最大の777ドル安となった。パチンコなら大当たりである。
東京も一時580円安となり日米共にブラックチューズデイと成った。
この否決は功罪相半ばである。元々米国は自己責任社会だから安易に企業を税金で救済する考えは無い。今までマネーゲームに浮かれてさんざいい目に会って来た証券会社が自ら仕組んだサブプライムローンの証券化によって莫大な損失を出して躓いたのは自業自得だから政府に救済を乞う資格は無い。金融機関のトップは数十億円もの退職金や報奨金を貰って来た。公的資金が欲しいなら先ず歴代トップが過剰な報奨金を返還するべきである。さもないとモラルハザードが起きる。
さはさりながら法案が可決されなければ間違いなく世界恐慌に突入するだろう。

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