米議会でトヨタ社長に対する公聴会が始まった。全米にテレビ中継されるから議員達が選挙民にアピールして点数を稼ぐ絶好の機会であり一種の政治ショーである。前にもブリッジストン社長が買収したファイヤーストーンのタイヤ欠陥問題で召喚された事があった。日本人らしく素直に謝罪したら欠陥を認めたことにされて巨額の賠償金を支払う羽目になった。豊田章男社長もうっかりする訳には行かない。
アメリカトヨタ販売の現地人社長がリコールの決定権限は日本本社にあるときっぱり証言したから、対応が遅れた責任は全て本社社長に有ることになる。急加速の問題を認識したのは何時かと言う質問に、去年の暮れだと答えたのは少し拙かった。これ程大きなリコール問題を社長たるものが僅か数ヶ月前に知ったと言うのはアメリカの常識では考えられない事である。
私は社長は本当のことを言ったと思う。茶坊主が詳しい事を社長に報告しなかったのだろうと思う。然しそれでは監督不行き届きになり責任は免れない。米国運輸省もアメリカトヨタは電子制御システムの欠陥疑惑に誠実に対応したが、日本に出かけてトヨタ本社と話しても一向に進まなかったと非難している。トヨタのリコール委員会が再現テストに拘ってリコールを引き延ばしたのは間違いない。
最近の車の燃料制御システムはPGMFIといってフューエルインジェクション即ち燃料注入がコンピュータでプログラムされている。何か問題があれば燃料供給がストップする仕組になっている。然しコンピュータと言えども時々誤作動するものである。絶対に問題はないと言い切れないのが辛い。急加速はアクセルとブレーキを踏み間違えて、半ばユーザーの誤操作によると思われるが、半ばシステム欠陥による事もあり得る。
ビッグスリーの地元選出の議員達は痛烈なトヨタ非難で共通しているし、トヨタ工場の有る州の選出議員達はトヨタ擁護で一致している。所詮エゴとエゴのぶっつかりであり
真実とは無関係である。
章男社長も世界最大の自動車メーカーのトップとして嘘だけは言わずにめげずに耐えてほしい。全てのトヨタ車には私の名前がついていると言ったがその通りである。創業者一族の名誉にかけても頑張りどころである。

2