民主党の税制調査会と党一体改革調査会の合同総会に野田首相が異例の出席をして「今我々が逃げたらこの国はどうなるのか」と熱弁を振るって反対派を説得し、消費税増税の道筋をつけた。深夜まで議論してご苦労な話であるが結論は14年4月に8%、15年10月に10%と言うもので、原案より半年間の先送りである。反対派はまだ納得していないが年明けに意見集約を終えて素案を纏める方針である。野田首相は反対派の離党もやむを得ないとの強い決意だから纏まるだろう。選挙で手痛い目にあってもよいという覚悟は立派なもので、自己保身が優先の反対派に比べればずっと増しである。
野田首相は消費税増税に対する国民の納得を得る為に来年の通常国会に衆院の定数を80名削減する事と公務員の給料を20%削減する法案を提出すると公言した。他にも特別会計のうち国交省の社会資本整備事業特会と農水省の森林保険特会を廃止し、更に経産省のエネルギー対策特会の一般会計繰り入れも鋭意検討中だという。
今まで誰もやらなかった衆院議員定数の削減で自分の身を削る政策を実現し、官僚の聖域だった特別会計の一部廃止に踏み込めば国民も消費税増税を受容れる余地が出てくる。参院の定数削減と他の特別会計にも取り組む必要がある。特に特殊法人や公益法人に流れている補助金を大胆に削減しなければ国民の真の納得を得られない。少なくとも大いなる前進である。

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