中国大使館一等書記官のスパイ疑惑は深まる一方である。農水省は調査チームを編成して筒井副大臣から事情聴取を行う。野党は鹿野大臣に対する問責決議案提出も視野に入れて政府を追及するという。
日本の農産物を中国に輸出する為、北京に展示館を作って展示販売する計画に熱心に取り組んで来たのが筒井副大臣が率いる農林水産物中国輸出促進協議会だった。鹿野大臣も趣旨に賛同したのは当然である。日本の農水産業の将来が懸かっているほどの重要なプロジェクトだった。中国の富裕層が日本の美味くて安全な米や肉や果物を求めるようになった。人口13億人だから10%の富裕層でも全日本の人口と同じである。
プロジェクトは中国大使館と接触し当該一等書記官に協力を頼むのも至極当然である。松下政経塾にも所属していた書記官は日本駐在も長く、その間日本の官界や民間企業に多くの人脈を築いてきたのも当たり前である。輸出第一便は米や乳製品などが含まれているので薫蒸措置や特別許可が必要だったが特例措置で免除されたと日本側は思い込んでいた。然し実際は中国の検疫当局が認めず廃棄処分されていた。
書記官の口座に日本企業から送金されていた事が判明したが、中国人が民間企業の便宜を図れば見返りを要求するのも又当たり前である。農水省の機密文書の内容が書記官に洩れていたのも輸出交渉の過程で要求されたものだろう。
大体中国やロシアの大使館員が日本でスパイ活動をしているのは常識である。筒井副大臣の脇の甘さは非難されるべきではあるが、自民党も鬼の首でも取ったように騒ぐのも可笑しい。

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