花巻市の大川小学校が大津波の避難先を間違えて74名の児童を死なせたことに過失があったとして仙台地裁が14億円強の損害賠償を宮城県と花巻市に命じたことは既に書いた。私は遺族の心情を思うあまり、県と市は控訴せずに支払うべきだと書いた。これは間違いだった。
宮城県と花巻市はこの判決を不服として仙台高裁に控訴することを決めた。津波が予見可能だったと認めることに抵抗があるのだろう。市の街宣放送は確かに7−10mの津波が来るから高台に逃げるよう流した。生き残った児童が裏山に逃げようと提案したのも事実らしい。
非常時の判断は校長と教職員であって誰も児童に従うはずがない。裏山に逃げれば助かったとしても三角地帯に逃げたことに過失があったとは一概に言えない。高裁は別の判断をするかもしれない。
もしこの判決を呑めば今後も地方自治体は災害のたびに訴えられるだろう。河川の氾濫で7名が死亡した老人ホームでも避難指示が無かったのだから訴えられるだろう。
私の考えは少し甘かった。情緒的に過ぎたと反省している。仙台地裁の判断は画期的だがややポピュリズムに走った嫌いがある。
学校の職員10名も亡くなったのだからその遺族も児童の遺族と同じ立場である。児童の遺族だけに賠償金を支払うのは公正にかける。

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