もったいないを合言葉に新幹線の栗東駅建設凍結を訴えて当選した嘉田滋賀県知事は、その後建設推進派が多数を占める県議会の抵抗にあって身動き取れない状況が続いていた。滋賀県議会は推進派の自民会派が過半数を占めていたが、先日の県議選で27名中11名が落選して大敗を喫し、慌てた自民県連の圧力もあって、急に凍結方針に切り替えたものである。民意を読み損なった自民党県議に下された民意の鉄槌であり快哉を叫びたい。願わくはいまだに整備新幹線を推進する自民党運輸族、建設族議員に対して少しは真の民意に配慮して、推進に歯止めがかかることを期待したい。
従来の自民党政治の本質は利権政治であり、中央、地方を問わず自民党議員の活動は先ず利権にあった。彼らが動く動機は国家国民の為ではなく全て金と票の為であった。
日本の産業構造は田中角栄の列島改造論以来、土建業に偏る歪なもので、特に地方経済は公共事業に群がるゼネコンに依存していた。彼等は首長や議員選挙で暗躍して公共事業の取り込みを陳情するから、それを民意と誤解する議員が整備新幹線や高速道路、箱物行政、林道農道建設を推進する結果、国家財政は破綻寸前である。道路や鉄道が要らないというのではなく、先ず財政を建て直してから余裕があれば造ればいい。
栗東駅も大金をかけて建設する価値があるとは思えない。新幹線を利用したければ近くに京都駅がある。正にもったいないと県民が思うのは当然である。
今回の県議選では嘉田知事を支持する政治団体が自民会派の県議を抵抗勢力と位置づけ「対話でつなごう滋賀の会」を結成して凍結派県議候補を公認、推薦し19人を立てて12人を当選させた。やはり政治を良くするには選挙民が立ち上がって選挙権を有効に活用する事以外に無いから、棄権はもってのほかである。
自民党も参院選を睨んで、滋賀県議選の結果に相当慌てた様子である。民意を無視して抵抗勢力とされては選挙に勝てない事がだんだん解ってきたのだろう。
安倍内閣の目玉は教育改革と公務員改革である。公務員改革でも官公庁の味方ばかりして抵抗している片山、尾身、の代官を抵抗勢力と位置づけて、小泉さんのように毅然と戦えば、国民が味方して支持率が上がるだろう。

0