世界一のウラン埋蔵量を誇るオーストラリアがウランの生産拡大に方向転換した。二大政党の労働党が核拡散や環境問題に因んで新しいウラン鉱山の開発を党綱領で禁止していたが、昨今のウラン需要の急拡大を睨んで見直したものである。連邦政府は自由党が与党であるが8つの州では労働党が与党として鉱山開発の許認可権を握っていたから豪政府はウラン鉱山の新規開発が出来なかった。このため生産量ではカナダに首位の座を譲っていたものである。ウラン燃料の価格は2000年と比べて16倍に急騰したから金に目がくらんだのかもしれない。元々オーストラリアはラッキーカントリーと言われている通り水を除いて資源は極めて豊富であり、広大な国土はまだろくろく資源探査も行われていない。石油や天然ガスも真剣に探せばいくらでもある筈と思うが、人口は少ないし、のんびりした国民性でがつがつしない。資源など将来の子孫のために埋めておけと言う知識人が多い。鉄鉱石にしろボーキサイドにしろ地上に剝き出してゴロゴロあるから全て露天掘りで採掘コストは只見たいなものである。その代わり輸送コストが高い。オーストラリアは一寸都会から外れると人跡未踏の場所ばかりだから、トレッキングで金塊やダイアモンドの原石を拾ったと言うニュースに事欠かない。実に夢のある国である。
さてこのウラン増産を見込んで早速ロシアが政府間協議を開始し、インドも水面下で動いている。中国は既にオーストラリア国内の5つの探査会社の権益を買収したと言う。
出遅れているのは日本だけである。アメリカに続く友好国であるオーストラリアのウランを確保する絶好のチャンスだと言うのに、経産省は一体何をしているのか。甘利大臣もカザフやウズベク周辺をうろうろしている場合ではない。
オーストラリアにとって日本は最大の貿易相手国である。私の知る限り一般的オーストラリア人は実に親日的であり、逆に人権や民主を軽視するロシアや中国は嫌われている。日本政府が本気を出してFTA交渉とウラン交渉に取り組めば日本が出遅れる訳が無いと思う。

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