またもや新型インフルエンザで死者が!
昨日27日、国内で3人目(いつからのカウント?)の犠牲者が出た。
去年、世界的な被害を出し、日本でも全国的にその脅威を示した新型インフルエンザ。しかし水際作戦は完璧ではあり得ず、街にはマスクが溢れ、パンデミック(大流行)なる耳新しい災害用語を知らされ、それでも高齢者は意外と大丈夫などという噂に近い情報に一喜一憂し、結局、あれ、日本では何人ぐらいの被害者を出したのだったろうか。
そして、今年再び、喉元通れば熱さを忘れる・・・前に、新型インフルエンザの復活である!
そんな中、昨日、未来予想図を地で行く出来事があった。
「未来予想図」はこの場合、落語であり、手塚治虫であり、その他、僕が少年の頃読んだ冒険科学漫画である。近くは映画「デイ アフター ツモロー」。どれも、タイトルや詳しいストーリーは忘れたが、何らかの原因で人類は地球脱出をしなければならなくなり、権力と民衆、犠牲と効率がぶつかり合いながら深い愛と決死のドラマが展開するのであった!
但し、今回僕が興味を持った「優先順位」の部分の顛末を深く追った作品は無い。そこが一番面白いのに・・・・・
で、それを「地で行く出来事」とは、今回の新型インフルエンザに対し、その有効なワクチンの総量がどうやら日本人全部分無くて、ワクチンを貰える=与えられる人間の優先順位を厚生労働省が討議の上、発表したのだ!
凄い!!そんな事をよく決めレタ!厚労省!もうひとつ、ドン!
ニュースに依れば、厚生労働省が、罹患した場合に重症化のリスクが高いとされる15(発表によっては14とするものも)の医学会の代表者を集め、その意見と要望を聞いたのだそうだ。
従ってまだ決定ではなく、方向性を検討したこの時点での試案というような段階らしい。
ではその、各学会の〔こういう人たちを優先してワクチンを与えて欲しい〕という要望である。カッコ内の人数は学会による推定対象者。
【日本小児科学会】
◇基礎的な持病のある小児(80万〜100万人)
◇1歳から小学校入学前で接種を希望する児童
(700万人)
◇0歳児の保護者(200万人)
【日本産婦人科学会】
◇妊婦(110万人)
◇産後6カ月までの女性(55万人)
【日本糖尿病学会】
◇血糖コントロールが出来ない1型患者ら(50〜100万人)
【日本循環器学会】
◇慢性心不全患者(80〜100万人)
【日本感染症学会】
◇ぜんそく患者
◇ステロイド投与などによる免疫不全状態の患者
※呼吸器学会、アレルギー学会もほぼ同様
【日本透析医学会】
◇透析患者(28万人)
◇その家族(47万人)
◇医師や看護師などの透析従事者(8万5千人)
【日本腎臓学会】
◇慢性透析患者
◇透析導入が近い腎不全患者
◇腎移植患者
【日本臨床腫瘍学会】
◇骨髄移植などを受ける人
【日本神経学会】
◇多発性硬化症などの免疫異常性神経疾患の患者
【日本老年医学会】
◇65歳以上で慢性呼吸器疾患などの持病がある人
◇糖尿病患者
【日本肝臓学会】
◇肝硬変患者
【日本血液学会】
◇すべての造血器腫瘍患者
うわ、こりゃ大変だ!この人はそれに該当し、こっちの人は該当しないとかって簡単に決まるものだろうか?これは絶対現場で揉める!
って言うか、ここまでに既に大変だったのではないか!
だって、これ日本の医学関係の学会、網羅されてるの?????
この時点で、外された学会とかって無いのかな?
心配だ、無ければ良いが、あったとしたら、既に差別は始まっている!
と、こう書いたら、賢い人はもう気が付かれたことでしょう!
各学会の様々な容態、情況の患者の中で、その学会自身の判断によって外された患者の条件がきっとあるはず!
例えば、
(産後6か月までの妊婦・日本産婦人科学会)=7カ月の人はダメなんだ。6か月と1日でもダメ?
(基礎的な持病のある小児・日本小児科学会)=基礎的って?持病の判定って明確なの?
・・・・・・揉めそう。
勿論、各学会とも、そこは悶着ありの苦渋の決断だったと思うが!
But!そんな他人事はさておいて、僕なんか発表された何処にも引掛かってませんから!
小児でもないし、妊婦でもないし、糖尿病も、ぜんそくも無い。ぎりぎり老年学会はと期待したら、いきなり65歳以上でアウトォー!あと、万が一可能性があるのは肝臓学会の肝硬変患者!でも、多分、違う。よく酒飲めるから。
でもやっぱり、その「肝硬変」でも線引きは絶対揉めるね。
「あなたの肝臓は大丈夫」とかって言われた人も普段なら喜ぶのに、今回に限って、「バカ野郎、俺の肝臓はイカレてるよ!もっとよく調べろ!ゴホ、ゴホ!」とか、「俺のほうが今さっきOKになったあいつより飲んでる酒多いっちゅうねん!あいつの二日酔い見たこと無いわ!オエッ!」なんてね!
はい、もうコントです。
「肝硬変」に限りません、どの要望にもそのボーダーライン上の患者や当事者はいる訳で、今回はまだ検討会だが、政府は9月中に「新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会」を経て優先順位を決めるそうだけど、大混乱!大暴動!大波乱!間違いなし!いっそ、こっちが大災害って話にならなきゃいいが。
そもそも何事に限らず、誰からも文句の出ない「優先順位」なんて決められるはずが無いのだ!
升添さん、大丈夫か!
ところで、何故こんな事になったかというと、ワクチンの量の問題だ。年内に国内で製造されるワクチンは1300〜1700万人分だという!
発表していない学会があるので全体の確定総数は出せないが、上の各学会の推定対象人数の発表があった分だけを足しただけでも1448万5千人だ!残り251万5千人!
わおぅ!日本全国ワクチンの争奪戦だ!
実力行使だったら、ヤクザ屋さんか自衛隊か国士館みたいな学校(※もしもの時、体力的に優勢だろうという、ま、賞賛です)の勝ちか。いずれにせよ、およそ僕なんか無理、無理。あなたもでしょうが・・・・・
しかし、決めるのは結局政府です。
251万人に入れる自信ありますか?
◆先ず、彼ら自身が彼らを選ぶでしょう。国のリーダーだの頭脳だとか言って。国会議員が衆参合わせてざっと800人。これに元とか前とか合わせると2000ぐらいにはなるのだろうか。でも、元とかってなると相当の老人ばっかりだし。今更・・・失礼。中曽根さんとか行くんだろうな、誰かに譲らないんだろうな・・・・・
◆2世議員とかどうなるのかな、地盤も看板も譲ったんだから親父はここも譲るんだろうか・・・・・譲らなさそう。老人の妄執だ!
◆自衛隊は是非もんだろうな。でも、長期病欠とか、昨日辞表出したとか、今査問会に掛けられているとか、ここにも微妙な人がいるんだろうな、きっと。
◆その自衛官の総数はざっと24万人。その内訳は、
陸上 14万4千
海上 4万3千
航空 4万4千
これに、
即応予備自衛官 8千
予備自衛官 4万8千
予備自衛官補 4千
が加わり、概算30万人!
え?251万人中、30万を自衛官が占める!
要らない、要らない、そんなに要らない。取り敢えずの敵は病気だし、もしそんな割合だと独裁軍事政権だ。新型インフルエンザより怖いことになるよ。本末転倒って言うか、軒を貸して母屋を取られるみたいな。しかし、となると、自衛隊の中でも足切りが行われるのか!?
もう、こうなったら自前の武器もってドンパチやってもらおう!
◆あと、優先されるのは公務員か。警官、役所、先生、裁判官、などなど。公務員はご存知のように国家公務員と地方公務員に分かれ、国家公務員が約60万人。その中には自衛官も含められるので残り35万(予備は含まない計算)。そして地方公務員が295万、え!え!え!これで終わりじゃん!
◆っつうか、公務員の3分の2が切り捨てられます。こんな時の為に公務員になったのに!
◆でも、現実はそうはならないでしょうね。先に挙げたあの落語なんてタイトルだったか忘れたけど、マクラだったかも?
地球脱出の時、どんな人から先に行かせて貰えるか、先ずお米を作るお百姓さん、そして家を造る大工さん、それから服を作る服屋さん、学校の先生、お巡りさん、お坊さん、お医者さん・・・・・結局、我々落語家なんてものは必要ありませんから置いてかれます。というような噺だ。で、現実もそうな訳で、農業、建築業、医療、食品と生活に必要な職業が優先されていくことになろう。
◆しかし、如何せん数は251万。どこまで救われるか骨肉、血類、近隣は言うに及ばず、上下、新旧、貴賎、男女、老若、賢愚とあらゆる闘いが繰り広げられることは血を見るより明らかだ!
◆ところが人間、食って寝るだけの無味乾燥な余裕の無い暮らしは御免、御無理なようで、あの昭和20年8月15日の太平洋戦争終了後の僅か2週間後の8月30日には戦後封切映画第一号『伊豆の娘たち』と『花婿太平記』(共に監督は五所平之助)が上映され――但し二本とも制作は戦中。そして二日後の9月1日には東京で戦後復活第一号歌舞伎(市川猿之助)が行われ、10月11日には大ヒット曲「リンゴの唄」を主題歌とした『そよかぜ』が封切り上映されたのである。
◆焼け跡に再び芽を吹き出した芸能演芸はそれだけにとどまらない、同じ年の10月21日には五代目松鶴が中心となり『上方はなしを聴く会』が開かれ、明けて昭和21年の正月には四ツ橋の文楽座が再建、開場、落語や漫才が上演されたのである。
◆何を言いたいかというと、ことほど左様に、人間は結構な苦境にあっても娯楽を欲しがるようで、どうやら生活必需品だけの暮らしでは生きていけない生き物のようなのだ。ということは選ばれる人種、職業ももう少し余裕とバラエティが生まれる訳である。
◆映画界、音楽界、テレビ界、お笑い界、スポーツ界。
〜映画監督はひとり?ふたり?大物俳優だけじゃ映画撮れないし、脇はどこまで・・・・?
〜音楽は紅白に出てなきゃダメとかんるのだろうか?
〜テレビ、みのさん?古館さん?黒柳さんはどうなる?
〜お笑い界は?ビッグ3は3人とも大丈夫なのかな?じゃ島田紳助さんは?落語家は誰も入らないの?
〜スポーツは巨人だけじゃ試合出来ないし。国技もある。これも横綱だけって訳に行かないだろうし。
もう大変!!!
◆じゃ、お笑い作家は!これは深刻だ!けど、この緊急時に5人とか無理だろうな、3人か。東西ひとりづつとかになったらいけるか。いや、この際将来のある若手に決まるか。よし、もし僕が選ばれたら、誰かに譲ろう!う〜ん、誰に?でもあいつだけは嫌だな。ははは、妄想、妄想。どうせ僕は無理だろう。元々、優秀なディレクターがいれば作家なんて要らないのだが!
と、まあ愚にもつかないうだ話、むだ話、あだ話でした!
しかも、これ現在、予定ワクチン量が1700万人分だからそうなる話だっていうだけで、まだまだ製造増加の可能性も無い訳ではない。それに、ワクチンを接種しないと必ず死ぬというわけでもない。こういうのを流言飛語という。努努、惑わされるべからず!
しかし、今回の報道の中で一番腹が立った、呆れた、驚いた、信じられなかった、考えられへんかったのがその会合でのこんな発言だ!
「10代でも、受験生は優先すべきだ」
近来稀に見る差別発言!
近頃珍しい選民感覚!
ヒトラーに負けない優生思想!
え、中学出て、高校出て働く人をどう考えてんだこいつ!
これを言った奴の名前は公表していいと思う!――だって、そんな学会に出るんだから地位も常識もあるひとなんだろ。
その発言の真意を聞きたい!――ま、そのまんまだと思うが。
人間として、価値を何に見つけているのかこのハゲは!――ハゲじゃないかもしれないけど。
そんな愚直愚劣愚昧愚妄の輩が登場する中、政府の海外からの緊急ワクチン輸入案に対し、「海外の国に日本が金にあかせてワクチンを買いあさっているという印象与えないように、慎重にすべきだ」と、まともな意見を吐く人もいた。去年の同じ騒動の時もコメントしてた、何とかセンターのちょっと太ったおじさんでした。あの人なんてったっけ?
とは言え、普通の常識的な発言ですが。
ところで、その去年のインフルエンザ騒動の時、既に政府がワクチン接種に関し、対象者の「優先順位」を検討し発表していたらしいのだが知ってました?僕は知りませんでした。
今回よりこっちの方が怖くて笑えません。けど発表!因みにそれは2008年9月18日のことでした!
――新型インフルエンザの対策を検討している政府の関係省庁対策会議は18日、感染予防に効果が期待されるプレ・パンデミック(大流行前)ワクチンの接種について、対象者を職業別に五段階の優先順位を付けて接種する案を提示した――(産経ニュース)
以下、優先順に。
<1>感染症指定医療機関、検疫官などリスクの高い医療従事者。海外の往来が多い航空会社の搭乗員、船員など計14職種(100〜200万)
※ま、これは拡大を防ぐという観点での当然の選択だ。特に去年は。
<2>閣僚、首長、各省庁や自治体のインフルエンザ担当者などの対策遂行の意志決定に関わる職種。
<3>指定機関以外の医療従事者、介護、福祉従事者、医薬品・医療機器の製造販売業者など生命・健康維持に必要な職種。
<4>国会と地方自治体の議員、報道関係者、警察官、法曹関係者など国民の安全、安心に必要な職種。
<5>ライフライン従事者、運輸、通信、食品製造・小売、金融事業、火葬・埋葬業者などの最低限の社会機能維持に必要な職種。
うわ、お笑い作家は入ってません!
あなたは、大丈夫でしたか?
しかし、これは地球脱出の話ではない。ワクチンが貰えるかどうかだ。貰えなくったって死ぬと限ったものではない。
でも、何か嫌だし、恐い。
だが、現実には60になろうとするお笑い作家に救いの手は伸べられないだろう。といって今更悲嘆に暮れる年でもない。
こうなったら、せめてコントにも出来ないような喜劇が生まれないことを祈るだけだ・・・・・な。
PS:ということで、この「優先順位」を決めるシーン、絶対面白いと思うので、次回の『コント衛門』でやりたいと思います!良いコントが出来ることを期待していて下さい。
ハードル上げ過ぎか・・・・・・

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