7月31日、1回戦が全て終了した。
何組から何組が勝ち上がったのかは詳細には知らないが、2回戦からは去年の準決勝進出組がシードされて入って来る。勿論、彼らこそが決勝進出最有力組であり、優勝最右翼組でもあるのだ。
そして、東京はシアターモリエール。大阪は∞ホールで7日間に亘って行われる2回戦の各日の出場組が発表になった。
僕たち「WHYNOT」は第一希望日の8月5日(金)にエントリーされていた。その他のメンバーは1回戦より、名前の知れた組が増えて、通過の困難さをひしひしと感じるのであった。
因みに、キングオブコントのHPより5日のその顔ぶれ。
嘔吐ロック
土居上野
天使と悪魔
黒子タクシー
回転ハッスル
亜修羅
ワンエイティ
ルームメイト
ラフ次元
ヨンキュー
モストデンジャラストリオ
メガモッツ
ムービーズ
ミミズ大臣
ミストボーン
マスタング
マニッシュガーリー
ポラロイドマガジン
ヘッドライト
プリマ旦那
プラスマイナス
ファミリーレストラン
ビッグボンバーズ
ビタミンS
ハンチング
パニーニ
ななまがり
ナカノアンドデンジャラース
トット
チキチキジョニー
ズンズンポイポイ
スリーナイン
ストリーク
スティーブンガットイーブン
シルキーライン
シャングリラ
ザ・プラン9
ゴルゴ・ン・ゾーラ
クレイジージェントルメン
キンチャク
キャサリン
キタク
かりんとう
エクセレンツ
いしまる
アジールセッション
アイロンヘッド
GAG少年楽団
A-ライン
『ひら』さん『かた』さん
みわこたに
ボンボンヤサゴナボン
プリマ旦那がいる!ポラロイドマガジンも!アイロンヘッド、GAG少年楽団、ボンボンヤサゴナボン!え、プラン9もか!わ、塾生の「ななまがり」もだ!
厳しい戦いになる!
いや、僕らはその戦いに食い込め得るのか!
そして、僕らが2回戦に用意したネタ、そのタイトルは『ゾンビ』!
大きく、2回の改稿を経て、本番前々日の8月3日に更に変更点が出て、最終的にこうなった。これで闘うのだ。
『ゾンビ』
▼下手から軍服姿のふたりの男が走り込んで来る。年長の男は隊長である。手に拳銃を持っている。若い男は部下。小銃を抱えている。ふたりとも顔も体も傷だらけだ。
部下「隊長!もうダメです!」
隊長「諦めるな!」
部下「でも、もう弾が無いんです!」
隊長「何!俺の銃にもあと1発しかない!
くそお!ゾンビどもめ!」
部下「隊長、我々も、あいつ等に噛まれて
ゾンビになるんでしょうか」
隊長「ああ、ゾンビになるのはイヤだ!」
部下「隊長、このままあいつ等に噛まれて
ゾンビになる前に、
自らの手で人間として潔く死にましょう」
隊長「え、どういうこと?」
部下「ロシアンルーレットです」
隊長「聞いたことあるぞ!」
部下「隊長の銃にはまだ1発弾が残っています。
それで、人間として死を選ぶんです。
運のいい方が人間として死ねる。
6分の一の確率です」
▼弾倉を回す、部下。
隊長「おおお・・回した。もう後戻りできない」
部下「どっちからやります?隊長から?私から」
隊長「そっちで」
部下「私から!有り難うございます。
では、行きます!」
隊長「出ろぉ。出ろぉ・・・」
▼部下、銃口を自分の頭に・・・・・・引き鉄を引く!「カチッ!」。弾は出ない!
隊長「くそお!」
部下「では、次、隊長です!
人間としてのプライドを見せて下さい!」
隊長「判ったよ!やってやるよ!やりゃあいいんだろ!
なんだ、こんな事、へでもない。
あっという間にやってやる。直ぐだ。」
▼渡された銃で何やらしている隊長
部下「隊長!1発戻そうとしてるでしょう!」
隊長「わかったよ、やりゃいいんだろ!やってやるよ。
いいか、俺の死にざまを見せてやる!」
▼隊長、遂に自分の頭に銃を持って行く。それを見ながら隊長に近づいて、隊長の横に回って行く部下。
部下「おお、遂に隊長が覚悟を決められた!
今や、銃口が隊長の頭に!」
▼すると、隊長の銃の位置がおかしい。頭と前後している。つまり前(対面している部下)から見ると頭に銃を当てているように見えるが、横(客席側)から見ると頭より後ろに銃がある。それに気が付き、横へ行く部下!
部下「空いてる!隊長、死ぬ気ないでしょう!」
隊長「おお、伍長!俺たちはこれでいいのか!
こんな運命任せの死でいいのか。
俺たちは2人とも死を望んでいる」
部下「はい!」
隊長「しかし、ひとりしか死ねない。
だったら、勝負をして、
勝った者だけがこの銃で死ねる。
それでこそ、ソルジャー」
▼隊長、銃を上手側の床に置くと、反対側へ歩く。
隊長「勝負だ」
部下「何ですか?」
隊長「ビーチフラッグ」
▼と言いながら、隊長、床にうつぶせになり、ビーチフラッグ独特のスタートの体勢。
部下「本気の勝負ですね」
▼部下も体勢を取る。
隊長「レディ、ゴー!」
▼部下、発進!あっという間に銃のところへ走って手にする!隊長、全然動いていない。
部下「やったぁ!(隊長を振り返る)わ、隊長!」
隊長「完敗だ!」
部下「隊長、いま、態と僕に勝たせたでしょう!」
隊長「いや、私も必死で闘ったが完敗だ。
伍長、その銃は全もう君のものだ。
残った弾も全部君のものだ!」
部下「隊長、何から何までお世話になりました!
(と言いながら、急に何かを思いつく)
ああ、隊長!いい事を思いつきました。
これなら1発でふたりが死ねます」
隊長「何だって!」
部下「我々の頭をくっつけておいて、撃ち抜くんです!」
▼部下、隊長の前に手を差し伸べる。隊長、その手を撥ね退ける。
隊長「いや、それは俺がやる!俺の仕事だ。
最後は隊長の俺が責任を取る!」
部下「流石隊長!」
隊長「俺の横へ来い。頭を付けるんだ。覚悟はいいか!」
部下「とっくに出来てます!」
隊長「行くぞ!」
▼しかし、銃が完全に隊長の頭の上に乗っている。このままでは、弾は隊長の何処にもあたらず、部下の頭だけを打ち抜く事になる。
部下「隊長、それでは私しか死にません!」
隊長「あああああ!」
部下「私がやります。逃げるな!行きます。御覚悟を!」
▼逃げようとする隊長を捕まえる部下。隊長の頭を無理矢理自分の頭にくっつける!
――SE=銃声
ふたり「ううっ!」
▼と、部下だけが倒れる。
隊長「あれ?おれ、死なない?ということは?
(腕をまくると歯形が)
わ、こんなとこ噛まれてる!
ゾンビになってたんや!ンガーッ!」
END
2011・7・15(金)1回戦の次の日第一稿
2011・7・20(水)改稿
2011・7・29(金)最終稿、のつもりが、
2011・8・3(水)改稿!最終稿。
正直言って、何の変哲もない、お笑いネタである。
批判性も、社会性も、日常性も無い。
僕自身の必然性も無いネタである。だが、せめての話、ネタの出来は悪くない。
そして、明日は本番。昨日漸く衣装や小道具が全部揃った。
2日前には高山拓志(13期生)が、今日は島田真央(10期生)が稽古に参加、ネタを見てくれる。そんな中、直前の昨日、ネタの一部変更が起きた!結局はこうしたオーディションを前に100%自信を持てるネタというのはあり得ないということだ。つまり、不安は極まりないのである。
さて本番当日!
僕の家に朝9時集合。といってもふたりだけ。4回ほどネタ合わせをして、会場へ向かった。
11時、2回戦スタート。僕たちは9番目ぐらいの出場だった。1回戦よりは緊張することなく、3分間をやれた。
だが、笑いは少なく、落ちたなと思わざるを得ない状況だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして、今日は8月6日。僕は家で仕事机に向かっている。遠くから花火の音。淀川花火大会である。開け放った窓からはビルの向こうにその花火も見える。
昨日、KOC2回戦。WHYNOTは落ちた。
ネタはそれなりにやりおおせた。笑いは相当少なかったが、見てくれていた島田曰く、「稽古よりは良かった」そうだ。
しかし、何と言っても、「今これをやる必然性」が無かった。それは前述のように、僕たちなりの理由はあったとしても、欠陥だ。
実は、僕たちの2組前に「ななまがり」と言うコンビが出ていた。そのボケの森下は魁塾の4期生である。彼らのネタを袖から見た。
――先ずタイトルコール!「知らないオジサンに着いてきてしまったオジサン」
――中身は、あるオジサン(初瀬)が、年下の58歳のオジサン(森下)に幼児が誘拐されるように着いて行ってしまい、監禁される。連れて来たオジサンはそれなりに危ない。そう言う話だ。
「誘拐」だし、「ホモ」というような言葉も出て来る。結構危ないネタである。そこには意図がある。それは「ななまがり」にとっての必然性だ。
そして、彼らは2回戦を突破した。
先生、大いなる反省である。
出番を終わった直後、原井とふたり、島田を待ちながら、負けを覚悟し、残念会の場所を探していた時、吉本の田中宏幸氏とバッタリお会いした。KOC2回戦に出て来たことと、笑いが無くって突破はないだろうことを言うと、「お笑いは書くとやるとでは大違いだから」という御言葉が返って来た。
判ってはいたが、今更に認めるしかないWHYNOTであった。
また1年、死なずに頑張ろう!
尚、3回戦にと用意したネタは、二部構成にして『第4回・コント衛門』でやります!
タイトルは、『お客様の中に・序列』
乞うご期待!
その第4回は、11月11日、金曜日!
会場は梅田。アムホールです!

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