縁側を開け放しておくと、家中に香りが立ち込める。
いやな香りではないけれども、圧倒される香りだ。
めしべは、天に手を伸ばすように中央から長く伸び、
はちみつを塗ったように、ねっとり濡れている。
甘さと妖しさと爛熟と退廃と。。。
誇示された存在感が、だんだんうとましくさえなってくるころ、
めしべを残して、いさぎよく散る。
命の営みの、激しさとはかなさを残して、
短いきらめきが、香りとともに霧散しても、
命の営みは、それからも静かに進行し、
季節が巡り、枯れ、再生する。
そのようにして、命は連綿と繋がっていく。

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