『THE 有頂天ホテル』
三谷幸喜 (監督)
役所広司 (主演男優)
松たか子 (主演女優)
佐藤浩市 (男優)
香取慎吾 (男優)
篠原涼子 (女優)
YOU (女優)
角野卓造 (男優)
伊東四朗 (男優)
西田敏行 (男優)
2005年制作
2006年公開
☆☆☆☆☆
三谷映画に対しては、最初の『ラヂオの時間』に満点をつけているのだが、次の『みんなの家』は楽しめなかった。そして今回の『THE 有頂天ホテル』は・・・、三谷映画は面白くて当然と思って観ているから評価基準も厳しくなるのだが、『ラヂオの時間』と同じくらい面白かった、と思う。ここ一発の爆笑力は『ラヂオの時間』の方が上だと思うが、『THE 有頂天ホテル』の方が登場人物も多くエピソードが重層的に進行していくので息つく暇もなく笑いが繰り広げられていくという感じ。
出演者の中では伊東四朗が群を抜いて良かった。良かったというか、あの人はもうそこにいるだけで可笑しい。また、佐藤浩市が格好つけ男の役を非コミカルに演じていたが、これも良かった。意外なところではYOUと篠原涼子がわりと良かった。松たか子はイマイチ。
登場人物としては、津川雅彦演じる大金持ちと西田敏行演じる演歌歌手が中途半端な気がしたが・・・。物語の中に充分に組み込まれていない感じ。
で、映画はとても面白かったんだけど、同時に、僕は三谷幸喜の発する種類のメッセージ(というかメッセージ性の無さというか)というものがあまり好きではないのかもしれないとも思った。僕にとっての三谷作品の魅力は、良かれと思ってやったことがどんどん状況をこじれさせていくとか、登場人物が必死になればなるほど困難が降りかかってくるといったコミカルな話の展開や、ちょっとした会話のズレや間から発生している。映画全体の発しているメッセージが魅力なのではない。そういうわけで、とても面白かったのに、「見終わったあと心に何も残らない映画」という印象も残るのだ。

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