『ほえる犬は噛まない』
ポン・ジュノ (監督)
イ・ソンジェ (主演男優)
ペ・ドゥナ (主演女優)
2000年制作
2003年日本公開
☆☆☆☆

オリジナルタイトルは『
플란다스의 개』。読み上げて「プ
ルラ
ンダスエ ケ」、つまり何と「フランダースの犬」(ちなみに、わずかな違いだが、「
플란다스의 게」だと「フランダースの蟹」みたいなので要注意)。タイトルに深い意味はないそうだが、犬を殺すという話なので動物に特別の愛情を注いでいる人は観ない方がいいかも(残酷・残虐シーンがあるわけではないが)。
正直驚いた。続けて20本近く韓流映画を観て、そのクォリティーは思っていたよりも低いという結論に到達しつつあったときに、この1本。すっごく面白い。娯楽作ではなく、ブラックユーモアや過激な笑いの要素を含んだ小劇場系の作品(ふと、『バートン・フィンク』を思い出した。あそこまで狂気じみてないけど)。この監督、その後『
殺人の追憶』のメガホンをとったそうで、なるほどなと思わせる。韓流映画だのなんだのという枠組みを軽く飛び越えてしまっている(と思う)。

DVDパッケージでは、女優のペ・ドゥナが主人公であるかのような印象を与えるが、本当の主人公はイ・ソンジェ演じる大学講師。人生がうまくまわっていかない男の苛立ちが、キャンキャンうるさい近所の犬を始末しようとする、という行為によって表現されている。ペ・ドゥナは、逆に失踪した犬を助けるという行為によって、うだつのあがらない人生を抜け出そうとする女のコを演じている(写真で見ると女子高生みたいだが、マンション管理事務所に勤める20代女性の役)。
これ、日本の映画だと言われたら日本の映画だと思うんじゃないかなぁ(もちろん言葉は韓国語だけど)。アメリカの映画、ヨーロッパの映画、と言われたら、そう思うかもしれない(登場人物は全て韓国人だけど)。この作品は人にとって普遍的な何かを表現するのに成功しているような気がする。
今日の一言韓国語は・・・、何いこう。よしこれいこう。「
죄송합니다(チュェソ
ンガ
ムニダ)」。文字通り意味をとると「罪に怖れおののいています」とのこと。要するに「申し訳ありません」。ただ、そんなに重い感じではなく、比較的軽い感じでよく使われているように思う。パッと聞くと「チェサムニダー」みたいに聞こえる。
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「ほえる犬は噛まない」 公式サイト(日本語)
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「ほえる犬は噛まない」 Taki Corporation(日本語)

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