『サマリア』
キム・ギドク (監督)
クァク・チミン (主演女優)
ソ・ミンジョン (主演女優)
イ・オニ (主演男優)
2004年制作
2005年日本公開
☆☆☆☆☆

どこの国にも、ついこういう映画を撮ってしまう人っているんだなぁ。鬼才キム・ギドクの監督第10作にして、2004年ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀監督賞)受賞作。雰囲気としては、ここぞというときにジェーン・バーキンの曲がインストゥルメンタルでかかっているような、そんな映画。
オリジナルタイトルも『
사마리아(サマリア)』(おかげさまで、手書きハングルようやく少し読めるようになってきました)。サマリアと言えば「良きサマリア人」、韓国版のポスターの図案なんてモロ聖女と売女だし、キリスト教的なモチーフが背後にあるのだと思う(韓国民の1/4はキリスト教徒)。僕は自分の知っていることしか知らない教養のない人間なんで、監督が描こうとしていたものが何なのかまだよくわかっていない。

映画のテーマはたぶん「贖罪」。罪を犯すことによって罪を贖おうとする娘、あるいは、娘の贖罪を代行する父の話。場合によっては、人を殺すってことが贖罪の意味をもっているんだというのが面白い(ここを面白がっていて本当に良いのか?とさすがに思うけど)。
ソ・ミンジョンが知り合いの女のコ(日本人)にとっても似ていてビックリ。強いて言えば上戸彩みたいな感じ? クァク・チミンは10代の頃の菅野美穂みたいな感じ。彼女、高校1年にして悟るわけよ、「この痛みを抱いて生きる」。人生ってそういうもの。1度抱えてしまった痛みは、そのまま抱えて生きるしかない。

とても95分の映画とは思えないほど濃い。韓国では18歳未満観覧不可、日本でもR-15指定になっている。純愛モノではないし、そもそも娯楽作ですらない。しかし韓流ファンはこういう映画を観ないとダメなんじゃないか。何か知らんけどギリギリの映画撮ってる人って世の中にいるわけじゃん。それはやっぱり観ないわけにはいかないだろう。こんな映画観なければよかったと思うような、そんな映画を観ないとダメだろう。
今日の一言韓国語は「
누구세요?(ヌグセヨ?)」=「どちら様ですか?」。ピンポ〜ンとチャイムがなったら「ヌグゥセオ〜?」
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「サマリア」公式サイト(日本語)

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