『笑の大学』
星護 (監督)
稲垣吾郎 (主演男優)
役所広司 (主演男優)
2004年制作
2004年公開
☆☆☆☆
原作・脚本は三谷幸喜。主演は役所広司と稲垣吾郎。121分。DVDを借りてきて自宅で観た。121分もあったとはとても思えない。本当に70〜80分くらいにしか感じなかった。役所広司は当然として、稲垣吾郎も好演している。
そもそも原作は、喜劇作家と警視庁の検閲官の取調室での攻防を描いた2人芝居。時は昭和15年、上演中止に追い込もうと台本にケチをつけ無理難題をふっかけてくる検閲官に対し、毎日台本を書き直してきて食い下がる喜劇作家。皮肉にも台本はますます面白くなっていく、というストーリー。役所広司演ずる検閲官が残す数々の名セリフはまさに爆笑モノ。「これは『
THE 有頂天ホテル』より面白いな」と思って観ていたのだけど・・・。
何か最後、拍子抜けしたような感じで終わってしまった。喜劇作家のもとに突然赤紙令状が来て去っていくからだ。これは、喜劇作家のモデルとなった実在の人物(菊谷栄)が辿った境遇。しかし、何と言うかな〜、本当に70〜80分くらいにしか感じていなかったので、最後の盛り上がりの一歩手前で終わってしまったような感じがする。会話のおかしさはまさに名人芸、技ありという感じで、星4つつけてもいいんだけど、どうも見終わった後に「あ〜面白かった!」という満足感を味わえなかったんだよなぁ。三谷作品はとても好きなんだけど、『
THE 有頂天ホテル』に感じたのと同様の、ある種の空虚感を感じるんだよなぁ。
この空虚感が何なのか考えてみると…、僕が三谷作品から感じる面白さは、ジタバタすればするほど状況がこじれていってしまうとか、ある出来事が思わぬかたちでハプニングを引き起こす物語の展開とか、脱線して本筋から離れていく会話とか、そういうところから感じている。三谷作品には三谷作品流のメッセージ性があるのだが、しかしそういったメッセージ性は、物語の筋とは多少関わりはあったとしても、僕が面白さを感じる、こみ入った状況や、思わぬハプニングや、会話の迷走とは、ほぼ無関係なものなのだ。つまり、メッセージを発している部分と面白さを醸し出している部分が本来無関係のように思うのだ。そのため、誰でも共感できそうなメッセージを発しているにも関わらず、僕はそのメッセージに空虚な印象を抱くのではないかと思うのだ。のだのだ。

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