2016/10/6

FILE4 再起動(リブート)  先輩 K先生の映画学ガイド


担当者 国語科 小柳優斗

Everybody loves a hero.
People line up for them.
Cheer them.Scream their names.
And years later, they'll tell how they stood in the for hours just to get a glimpse of the one who taght them to hold on a second longer.
I believe there's a hero in all of us that keeps us honest, gives us strength, makes us noble...
...and finally allows us to die with pride.
(誰だってヒーローを愛してる。
 その姿を見たがり、名前を叫び、
 何年も経った後で語り継ぐでしょう。
 どんなに苦しい時でも、あきらめちゃいけないと教えてくれたヒーローがいたことを。
 誰の心の中にもヒーローはいるから、
 正直に生きられる。強くもなれるし、気高くもなれる。
 そして最後には、誇りを抱いて死ねる。)


The future is and should be bright, but, like our brief four years in high school, what makes life valuable is that it doesn't last forever, what makes it precious is that it ends.
I know that now more than ever.And I say it today of all days to remind us that time is luck.
So don't waste it living someone else's life, make yours count for something.
Fight for what matters to you, no matter what.
Because even if you fall short, what better way is there to
live?
(私たちの未来は、輝かしいものでしょう。けれど、短い高校生活と同じように、私たちの人生は、永遠に続くものではありません。だからこそ貴重です。終わりが来るからこそ、大切なのです。
私は知っています。私たちの時間は、幸運の女神によって与えられたものだと。
だから、誰かの言いなりになって生きるなんて、そんな無駄な時間を生きないで、自分の信じるもののために生きましょう。
たとえどんなことが起きても、自分の信じる者のために戦いましょう。
たとえ夢がかなわなくたって、きっと後悔はしないから)



 長々と引用してしまいましたが、上の二つの言葉は、同じキャラクターの、違う続編映画(ややこしいな)の中で登場するセリフです。そう、我らが親愛なる隣人、スパイダーマンですね!
 初代スパイダーマン・シリーズは2002年に始まり、U、Vといずれも大ヒットを飛ばしました。特にUは傑作とされ、アメコミ映画化作品の中でもトップクラスの出来だと高く評価されています。
 初代シリーズはVでいったん休止し、2012年にリブートという形で銀幕に登場したのが、『アメイジング・スパイダーマン』。キャラクターや世界観は原作通りとし、キャストと物語を一新させて、スクリーンにスパイディが返ってきました。この『アメスパ』シリーズにも続編のUが製作されましたが、興業的不振のためにそれ以上の続編は作られず、またも沈黙・・・・・かと思われた矢先、ついに今年2016年MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)にスパイディが登場し、『シビル・ウォー キャプテンアメリカ』でデビュー。MCU単独の『スパイダーマン ホームカミング』も公開予定です。


 個人的には『アメスパU』も、決して失敗作の一言で片づけることができない大好きな作品。しかし正直なところ、2012年に『アメイジング・スパイダーマン』としてスパイディが銀幕が帰ってくると知った時には、「え? 早くもリブートするの?」と思ったことも事実。スパイディの沈黙期間、短すぎない? 2002年版と、結局は同じ話になるんじゃ……という不安は拭えませんでした。


 ところがどっこい、この『アメイジング・スパイダーマン』、ちゃんとリブートした意味がありました。同じキャラクターで、よく似た筋道をたどりながらも、まったく違う物語を描き出していたのです。
 2002年版と2012年版、そしてそれぞれの続編、これらを比較しながら、再起動(リブート)作品の面白さについて、考えてみたいと思います。

 なお今回から、1つのガイドにつき何回かに分けて書いていきたいと思います。今回は結末まで至りませんが、ご了承ください。


ガイド5「再起動(リブート)−−二つの作品群が描き出す、ヒーローの物語」

 ――
家族を愛し、学校に通い、恋に悩み……
    愛すべき1人の青年が今、
    スーパーヒーローになる宿命を背負った。――
 
 心優しいが内向的、化学は得意だが友だち作りは下手……どこにでもいる平凡な青年、ピーター・パーカー。あるとき放射能を帯びたクモに噛まれたことによって、スーパーパワーを手に入れ、これまでの平凡な生活が一変した。敬愛するベンおじさんの死を通して、「大いなる力には大いなる責任が伴う」ことを痛感したピーターは、たとえどんな苦難が前途に待ち受けていようと、授かった力で人を救い続けることを誓うのだった。……。

 アメコミのヒーローを代表する1人、我らが親愛なる隣人、スパイダーマンの超有名なオリジン。あまりに有名なもので、スパイディのことを知っている人なら多かれ少なかれそらんじることができるだろう。むろん、映画化作品に導入されたのも、基本的にはこのオリジンに沿ったものである。ヒーロー映画の宿命として、第一作目にはヒーローの「誕生秘話」が描かれる。2002年、サム・ライミ監督によって生み出された『スパイダーマン』も、2012年、マーク・ウェブ監督によって生み出された『アメイジング・ズパイダーマン』も、基本的にはこのオリジンを描いていた。

 だからこそ、件の疑問が起きたわけである。リブートする意味って……? スパイディの誕生物語なら、2002年に上出来なものがすでにあるのだ。2002年から始まる一連のシリーズをご覧になればわかるように、『スパイダーマン』シリーズは今なお、時間の経過による古びた感じというものが、全くない。オリジナルの製作時代が相当古くて、当時できなかったことを最新の技術で作り直すというならリブートにも意味があろうが、別段古びてもいないものを改めてやったところで、何の意味があるのだろう? 敵キャラが、ヒロインが変わりました、キャストが変わりましたというだけでは魅力に乏しい。裏を返せば、サム・ライミ版の『スパイダーマン』はそれほど満足な出来だったのである。

 ところが2012年『アメスパ』を観て驚いた。映像の進化というところで目覚ましいものも確かにあったが、それよりも目から鱗だったのが、物語のスタイルだった。サム・ライミ版『スパイダーマン』と『アメスパ』を比較すると、同じヒーローを描いていながら、全く異なる物語を紡ぎだしていることに気付くのである。

 結論から言うと、両方とも結局一作目は上記のオリジンを描いている。そして、このオリジンにはいくつかの欠かせないファクターがある。
 @スーパーパワーを得るまでのピーターは、平凡(よりやや下)の高校生であること。
 Aクモに噛まれることでスーパーパワーを得て、まずは利己的な目的に使用すること。
 B強盗によって、ベンおじさんが殺されてしまうこと。
 Cベンおじさんの死をきっかけにして、ヒーローの道を選択すること。

 2002年『スパイダーマン』は、このオリジンをかなり忠実になぞっている。主人公ピーター・パーカーのダメダメっぷりも初めから徹底して描かれるし(ただ演じているのが、トビー・マグワイアというイケメンであることを除く)、Aの利己的な目的というところも描かれている。恋をしている幼馴染のMJに告白するために車を買おうとし、その資金集めのために格闘技戦に参加するのである。ところが主催者が支払いをケチり、怒りを覚えたピーターはその腹いせに、主催者から金を奪った強盗を見逃す。だがその強盗がベンおじさんを射殺してしまうという悲劇を起こすのである。
 
 2012年『アメスパ』も、ここまではよく似た筋道を通る。が、微妙なところで違いがある。ピーターは冴えないながらも、ちょっとした勇気を持ち合わせていて、弱い者いじめをしているクラスメイトを止めようとして逆に殴られるなど、「いいヤツ」の点が強調されている(アンドリュー・ガーフィールドの、「マジで華がない」感も、素晴らしく説得力がある)。Aの部分については、スーパーパワーを手に入れた後は、いきなり金銭目的に使うのではなく、自分の力をあれこれ試すシーンが代わりに挿入される。それに没頭するあまり、家族を顧みなくなるという「利己」が描かれ、それをとがめられたがために怒って家を飛び出してしまう。ここでの「責任」ということに対するやり取りも、2002年版にはなかったものだ。家を飛び出したピーターはコンビニに寄るが、お金が足りなくて何も変えず、その腹いせに強盗を見逃してしまう。ここの「利己」の部分について言うと、『アメスパ』のピーターのほうがやや悪質なものとして描かれている。向こうは別に何の不正もしていない。ただ、金が足りなかったから追い返しただけである。
 この見逃した強盗が、ベンおじさんを殺してしまう(B)。そして物語は、ここから大きく違ってゆくのである。



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