2021/8/25

『OKU NO HOSOMICHI』 第36回  国語科S先生の『OKU NO HOSOMICHI』

〜A long time ago in TOHOKU far,far away(昔々、遠い遠い東北の地で(「STARWARS」?)〜

  『1986 OKU NO HOSOMICHI(SHOWA〜HEISEI)』

第36回「落雷の恐怖、豪雨の山頂 (滋賀県 2005年夏)」
                            国語科 副島勇夫

 土砂降りのため、やむなく敦賀で打ち切った昨年。その敦賀からはじまる。

 2年前同様、この年も阪神はJFKの鉄板のリリーフ陣で強かった。9月に甲子園で巨人戦での優勝。最後は久保田がレフトフライに打ち取り、金本がウイニングボールをつかむという最高の優勝の仕方である。
 ところが多くの阪神ファンにとってこの年は封印したいほどの優勝なのである。それはクライマックスシリーズ(この頃はパリーグだけ行っていた。ちなみに昨年、今年はコロナのためCSはない)を勝ち上がってきた千葉ロッテに4連敗するのである。それも大差の負けが3つもある。初戦は10点以上取られ、しかも、球場が霧で包まれ何も見えなくなりコールド負け。セリーグ優勝の気分は粉砕されるのである。2021年今年はどうなるのであろうか?
 話を2005年7月に戻そう。この段階では阪神も首位中日と激しく争っていた。

 お盆明けの昨年と違い今回は7月末である。朝、家を出て、新大阪で特急サンダーバードで敦賀へ。悲しいぐらい速く到着。1時間20分。あっと言うまである。初日は敦賀の街を散策すると決めていた。ここは見どころの多い町である。敦賀気比神社、晴明神社などを訪れ、ヨーロッパ軒でソースかつ丼を食べる。このあたりに芭蕉が逗留した出雲屋があるのだが現存せず、喫茶店の横に説明の看板しかない。福井のソースかつ丼は薄めのウスターソース。どこか物足りないのだが、まあ食べやすいことは確かである。あっさりのかつ丼。卵でとじてもいない。キャベツ、とんかつ、ソースで終了である。
 安倍晴明は有名な陰陽師である。映画や漫画にもなったスターである。式神という妖怪を使い平安の時代に活躍した謎の人物である。京都にも晴明神社はある。いずれもパワースポットである。その後、芭蕉が貝拾いをした色の浜を目指す。敦賀の町から入り江沿いに西へ向かう。色の浜は芭蕉が憧れた俳人、西行の訪れた歌枕(俳句等に詠まれる名所)である。「ますほの小貝」を芭蕉は拾った。

 衣着て 小貝拾はん いろの月    芭蕉

の句を残している。
 色の浜は小さな砂浜である。貝殻は特別なものではなかったが小ぶりな可愛い貝だった。ここからは海のレジャースポットとして有名な水島が見える。日本海でありながら、水島は白い砂浜に囲まれた小島で、その周辺の海は南海のように青なのである。沖縄やタヒチのような青と白い砂浜のミニチュア版。敦賀の海岸からは何か所か、この水島への送迎船が出ており、色の浜もその1つである。そのため、芭蕉の色の浜は、水島へ向かう人の乗船場、駐車場があり。まったく風情はない。

 風情のないついでに映画館で「STARWARSV」を観る。何を隠そう私は「STARWARS」フリークなのである。初めて公開されたのが高校1年の夏。「1」と思っていたが、後にこれが6部作のWにあたることになる。小柳先生とはライバルである。毎回公開されるたびに、何回観たか、細部の確認をする。そのために、初めは3Dで観る。もちろんIMAX。本当のIMAXの上映方式が行える映画館は、日本ではエキスポシティにしかない。そのため、わざわざ遠来から来るマニアもいるぐらいである。大阪人としては、なんと幸せなことか。そして、細部を確認するために2Dで2回目。そして、もう1度味わうために3回目。これが定番コースである。まさか、敦賀で1回目を観るとは思っていなかったが、見ないわけにはいかない。ちなみに翌朝の最初の上映も見てしまうのであった。

  アナキン、そんな簡単にダークサイドに堕ちるか?
  ジェダイ、もっと強いんちゃうん?パルパティーンを見破れない?
  メイス・ウインドウ、最強とちゃうんか?

などなど、心の中で突っ込みながら観ていた。ああ、愛した「STARWARS」が終わってしまう。期待しすぎたので感動はなかった。しかし、この後、かなりの年月を経て、シリーズは7,8,9と作られ近年完結した。それこそ、満足のいかない完結だった。財力があるなら作り直したい。そして阪神は0対13でヤクルトに負ける。2位中日との差4ゲーム。もう負けられない。

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 翌日、敦賀の町の背後にある山々を超えていく。超えればとうとう滋賀県。近畿地方である。山道、上り路。もう、自販機もコンビニもない。天気は朝から曇りだったが次第に怪しくなっていく。沓掛あたりから雨が降り出す。振り返ると敦賀辺りは真っ暗だ。雨雲が追いかけてくる。峠道。民家もない。
 とうとう雷が鳴りだした。光る。音。その間隔が狭まっていく。100mほど先に小屋がある。雨が土砂降りになった。走れ。小さな倉庫。雷がすさまじくなる。音はゴロゴロではない。パシューッとかバキバキとか唸っている。凄まじい音、光。そして台風並みの雨。倉庫の軒下では雨宿りにもならない。全身が濡れていく。レインコートは着ているが。靴は守れない。絶え間ない雷。その時だった。一段と凄まじい炸裂音。200mほど先の木に落ちた。閃光。地鳴りのように、地面が振動する。思わずしゃがみ込んでいた。焦げた臭い。自然の凄まじいエネルギー。姿勢をかがめ耐え忍ぶ。その間も炸裂音は繰り返す。山間を通る電線の高い鉄塔に避雷針があり、そこに落ちているようだ。動けない。この道は逃げ場がないのだ。時折、車が水を大量に飛ばして逃げるように走っていく。雷が遠ざかった。雨が急速に止んでいく。助かった。びしょびしょのまま歩き出す。10分も歩くとバス停の待合があった。ここまで来ていたらもっと安全だったのに。


 
 そこから余呉湖を目指す。靴を濡らしたため足の皮がふやけ、指にマメが出来ていくのがわかる。痛い。そのうち避けて血が出るのだろう。一応、靴を脱いで足をふき、靴下も絞ったのだが、そんなことはたいして効果がない。ふやけた皮膚。しみ込んだ靴下。これまで何度経験したか。余呉湖到着。ここは天女が羽衣を残して天に飛んで行った羽衣伝説のある地だ。日本各地に同様の言い伝えはある。かぐや姫もそうだ。羽衣をかけた木というのがあったが、どうせ嘘だろう。
 きっと、この天に帰る人の伝説は「古代の宇宙人」なのだと信じている。そういうのが好きなのだ。世界各地に、空から来た神の言い伝えがある。天にまつわる建造物がある。それで十分だ。地球人だって宇宙人の一種だ。余呉湖は1周回れるほどの湖だが、マメが潰れ、バンドエイドを巻いている今、そんな余裕はない。木之本を目指す。今日の目的地だ。足が痛い。セミが鳴いている。ヒグラシ。まるで秋だ。木之本に着いたのは、夜の7時だった。
 阪神は藤川が打たれ、負け。中日は11連勝で3ゲーム差に。阪神はここから高校野球に甲子園を渡し、苦手な死のロードに出る。8ゲーム差が3ゲーム差に。まるで2021年だ。

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次回は第37回「天下分け目の関ケ原 西軍が勝っていたなら (滋賀・岐阜県2006年夏)」です。




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