時々降って湧いた様に、まるで発作的に、
「あれが欲しいあれが欲しいあれが欲しい」と思う事がある。
普段の私には、ほとんど欲しい物がない。
この間、「欲しいなぁ〜」と思っていた化粧品を買ったが、
服も靴もバッグも装飾品も、大抵の場合、ほとんど
そんなに強く欲しいと思わない。
洋服なんか見に行っても、試着の煩わしさを思うと、
本当にどうでも良くなって、これまた大抵買わずに帰って来る。
だが、ここ半年程、ずーーーっとネチネチと欲しがっている
物があるのだ。欲しくて欲しくて喉から手が出る程なのだが、
実を言うと、めちゃめちゃ腹に力を入れて我慢している。
そのブツとは、任天堂DSのゲームソフト、『テトリス』だ。
私はあんまりそういうゲームが好きではない。
うちにはなんだか意味の分らないゲーム機が何機もあるし、
我が家の息子達は揃いも揃ってゲーマー、
しかも次男に至っては筋金入りのゲーマーで、
昨晩なんかとうとう
「自分でゲームを作りたいから、
そろそろプログラミングを勉強しようかな、と思ってる」と
発言し、私を「とうとうここまで来たか」という心境に
陥らせた。そこまでゲームが好きなんか。
そうして、息子どもは目を血走らせながら、何時間も
ゲームをする、という特技(と言えるのかどうか・・・)を
持っている。が、その母親の私は、PS2のコントローラーさえ
満足に操る事も出来ず、ロールプレイングのゲームなんか、
主人公の女やら男が気色の悪いもんがそこまで迫っても、
走る事も歩く事も出来ず、同じ場所でグルグル回る、という
醜態のみを晒し続けるのである。
が、ゲームが嫌いか?と言うと、それはまた別の話しで、
パズル系のゲームは下手クソだけで大好き。
2時間位なら、余裕ぶっこいてテレビ画面の前にへたって
次男と同じ様な異次元彷徨っています的眼差しを掲げて、
ゲームに没頭する事もできる。
そこへ、現れたのがDSである。
相変わらずロールプレイング系は出来ないが、
パズル系は出来るじゃないか。
私が今嵌っているのは、
「もっと大人の脳を鍛える」だが、本当の本当に嵌っている
のは、そこにおまけ的存在でついている『ばい菌撲滅』である。
色とりどりのカプセルが落ちて来るので、
それを同じ色のばい菌にくっつけて、その数が4つに達したら
消える、というゲームである。
これ系のゲームにめちゃくちゃ心を奪われやすい。
で、肝心の脳みそのトレーニングは全くせず、
ばい菌ばかりを撲滅に励んでいる。
脳年齢も、25歳という私的には驚異的な新記録を樹立して
からは、その記録が脆くも崩れ去って行くのを見る忍びず、
一向に新しいテストをしようとさえもしない。
やるはばい菌の撲滅のみ、である。
こんな事なら、テトリス買えば良いのに、と思われるだろうが、
その『ばい菌撲滅』、テトリスに比べれば、
本当にちゃちいゲームである。
それに、私は2時間どころか、本当の本当の事を言うなら、
もし私に主婦としての枷がなければ、
自分が覚醒している時間の全てを注ぎ込む事も可能だろうな、と
容易に想像がつくのである。そんな私がテトリスなんか
買ってしまった暁には、絶対に私の人生は終る。
人生が終る、とあまりにもプリディクタブルな故に
どうしたって買う事ができない。
ふにふにふにふに、そうさ!買う事が出来ないのさ!!!
と、自分自身を納得させる毎日を送っていたら、
私の知り合いの男の子(と、言っても27歳になりますが)が、
テトリスを買ったのだ!!!
「ぬぅわにぃ〜、テトリスを買った?」
彼は、私なんかと違って、全てに渡ってのゲーマーだ。
実に、我が次男が敬愛し、尊敬してやまない男でもある。
その彼の短く簡潔な日記から、DSテトリスを聞くにつけ、
「めっちゃ欲しいーーーーー!」願望がむくむくと膨れ上がる。
が、しかし、私の予想通り、仕事や日々の事で忙しい筈の
彼の人生も微妙〜〜〜な感じに終っているのも事実である。
ならば、起きている間中、誰からも時間を束縛されない私の
人生なんて、簡単に恐ろしく普通に完結してしまうじゃないか。
だが、彼の日記での記述は、ますます私の購買意欲を煽る。
何なんだ!このジレンマは!!!
・・・本当に、人生においてどうでも良い物に、
これ程までの物欲を抱く私って、何なんでしょうかね。
私、41歳でっせ。
誰か私を正気に戻してくれ!
・・・って言うか、
「そもそも正気だった事はあるのか?」
ううーん、非情に難解な質問だな。
即答は避けておこう。
んが、テトリス欲しいですーーーーーー!(涙)

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