2012/5/25
※こちらら釣行記ではありません。登山記となっております。ご興味のある方のみご閲覧ください。
また、今回の登山は冬季閉山中の富士山で自己責任のもと行われています。一般ハイカーの方は絶対に真似をしないようお願いいたします。
ひんやりとした朝の04:30。
YU君と富士スバルライン吉田ルート5合目に来ている。

今回のミッションはそう、積雪の富士登頂。
本来なら昨日の15日に挑戦する予定だったのだが、朝から雨まじりの雪が降っていたうえに25メートルを越える強風というタフコンディション。
危険と判断し本日の16日となったのだ。
意外に思われるかもしれないが、4月から5月の富士山上部は一年で最も雪が多いシーズン。
そして今日はなんとか晴天に恵まれたのだが、山頂付近の25メートル越えの南西強風は相変わらずといった感じ。
ひとまず風の真裏となる北東面の吉田ルートより標高3400メートル地点の本8合目を第一目標とし、天候や風、雪のコンディションをみて、行けそうなら山頂へアタックをかけるという作戦だ。
はたして・・・
●いざ!残雪の富士へ
早朝05:40
ザッザッザッザッザッザッ
静かな朝に溶岩の砂利道を歩く音がひびく。
夏の開山期間には観光用の馬が歩いているこの周辺は5合目。
まだルート上に雪はないのだが斜面の脇はこんな感じ。

しかし歩けばまだ夏の登山道とほぼかわらぬ雰囲気。
この辺りでもチラホラと雪が着いてはいるが、まだまだこのシーズンの本当の富士の姿ではない。

はるか下には朝日に照らされた山中湖が美しい。

案の定、風裏となるこの北東面はほぼ無風に近い。しかし上部にいったら当然こうは行かないだろう。
6合目をなんなく通過し
7合目。ここからは本格的な雪山登山となる。小屋のまわりにある一般ルートは埋もれており、点在する小屋を目印に周辺の雪壁より直登するのが雪富士の基本スタイル。
アイゼンを装着したがまだ長袖のTシャツ一枚で大丈夫だ。

行くぜ相棒!

うぃっす!
キックステップを使っての登高。
一歩一歩アイゼンの爪先を蹴り込むこの作業はいたって単調なのだが、斜面での転倒は間違っても許されない。
そして普通の歩行よりはるかに体力も使うのだ。
ほとんど寝ていないとは言えまだまだ体力はじゅうぶん。一気に高度を稼ぐ。
5合目より休憩は入れずに歩くこと3時間。
ようやく8合目の小屋群が見えてきたぞ!

3100メートル地点の8合目に到着。
気温は徐々に下がりだいぶ冷えてきた。行動食のスニッカーズを半分だけかじりフリースを着こむ。

ここ8合目から、第一目標地点の本8合目までの区間で斜度はかなり立ってくる。
そして同じ8合目内とは思えぬほどに、ここから本8合目までの距離は長いのだ。
体が冷える前に先に進もう。
とにもかくにも積雪の富士は単調な登りだが一瞬の油断も許されない。
集中力の持続性が試される山だ。
もしこのカールに落ちたら果てしなく落ちてゆく想像は簡単だ。

ザクッザクッ・ シャン
ザクッザクッ・ シャン
ルートは直登につぐ直登。アイゼンを蹴り込む「ザクッザクッ」という音に、ピッケルを雪面へ差し込む「シャン」という音が静かな雪山に響く。
リズミカルに。
ザクッザクッ・ シャン
ザクッザクッ・ シャン
先にも書いたがとにかく長い8合目区間。雪崩の危険の少ないリッジ付近の雪壁を自分で決めたルートで行くのだ。
本8合目はまだか〜?
所々には雪のクラック。注意しながらルートを選択し、小屋を目印にルートを選び上がって行く。

すでにまわりを見渡せば完全に真っ白な世界。
ヒマラヤのローツェフェイスを想像させる(かってに)富士の巨大な壁。

ハアハアと息を切らしながらようやく目的地の本8合目に到着!
現在の標高は3400メートル。ひとまずアウターシェルを着こむ。

そしてすぐさま気象庁のサイトをチェック。山頂付近の風は25.7メートルの表示。
行けるのか?アタックできるのか?
地上事務局のS隊長に携帯で連絡。現在の状況を伝え、とりあえず山頂へアタックしてみると伝えた。
さあ、YU、いくぜ!
目の前にあるのは、風が巻く巨大な富士の上部。
その真っ白な姿。
不気味さすら感じるデカさと雪のつきっぷりだ。
なにやら先に二人組が見えるぞ!
風に断念し、下山中の外人パーティーだ。軽く挨拶をかわすと
「Windy! Oh my god!」と。
ひぇ〜
しかし我々はさらに先へと進む。
もうこの先は山頂までは小屋もない大雪壁。
ビュオ〜〜〜〜〜〜ビュオ〜〜〜ボボボボっ
時折くらう突風に耐風姿勢をとる。
寝不足からか?いつになく薄く感じる空気。もうエベレストのデスゾーンにいる気分(笑)
そして「アコンカグア〜」と意味不明な雄たけびをあげだすYU。完全にハイになっている様子。

あっ、9合目の鳥居が見えた!

しかしこいつが意外と近づいてこないんだよね〜。
不覚にも軽い高度傷害で頭が圧迫されているし(笑)
気温はマイナス。なのにジリジリと照りつける太陽と時折吹く強い風。寒いのだが、顔がメチャ焼けてるのを感じる。

3600メートル。9合目の鳥居に突入。ここでこれだけ積っているのか。山頂の鳥居はどんな感じなのか(笑)

山頂まではあと少しだ。
登山はまさに人生の縮図。
一歩一歩の積み重ねであり、また一歩をあやまっただけで転落もある。なんでもない一歩、大切な一歩。
風はかなり強まり、雪面もクラスト(氷化)した斜面になってきた。
アイゼンを蹴り込むたびに「シャリシャリシャリ」と音をたてながら奈落へと落ちてゆく大量の砕氷。
こりゃマジで絶対に転べないぞ

山頂の鳥居をさがす。次の鳥居。ラストの鳥居はどこいった〜!
息切れもすごい。
よしあそこだ!
頭を雪から一部だけ露出させた山頂の鳥居。あれをめざせ!
あと少しだと言うのに、なんか今日はめちゃくちゃ苦しいんだよね。
山頂を目の前にして立ち休みを繰り返す。だって本当に苦しいから。
お〜〜〜りゃ〜〜〜!!
あと5メートル
3メートル
2メートル
1メートル

13:20。登頂成功!

やったぞ!
YU君と堅い握手。
この広い富士山頂。日本最高の地。
今ここにいるのは俺らたった二人だけだ。何度も登ってきた富士山だが、今日は本当に感動したよ!
事務局S氏とFacebookに登頂成功のメールを送る。
見回せば頂上の小屋は完全に雪の中。


ヒョイと小屋の屋根の上を越え

噴火口へ。風強すぎてここからのショットが限界。

だって風表は風速25.7メートルだから(笑)
そして至福の一服

うまいっ!
二人で下に向かって叫んだ。
江原:ファイト〜!
YU:イッパ〜ツ!
くだらないけど、登頂成功したらこれやりたかったんだよね(笑)ねむ太郎もお疲れさん

積雪の富士登頂、ミッションクリアだ!
山頂滞在時間は約20分。
そして下山路へ。
8合目からは安全を見計らってのシリセード(滑り降り)。
16:30。無事に下山した。

トータルで約11時間半に及ぶ日帰りのエクストリームな冒険。
今回も大きな感動をくれた雪山。

日本の最高峰・富士山

仲間よ、日本の自然よ、本当にありがとう!

ありがとう!

THANKS:YU君、S氏(共にJR山岳会)
FIN

また、今回の登山は冬季閉山中の富士山で自己責任のもと行われています。一般ハイカーの方は絶対に真似をしないようお願いいたします。
ひんやりとした朝の04:30。
YU君と富士スバルライン吉田ルート5合目に来ている。

今回のミッションはそう、積雪の富士登頂。
本来なら昨日の15日に挑戦する予定だったのだが、朝から雨まじりの雪が降っていたうえに25メートルを越える強風というタフコンディション。
危険と判断し本日の16日となったのだ。
意外に思われるかもしれないが、4月から5月の富士山上部は一年で最も雪が多いシーズン。
そして今日はなんとか晴天に恵まれたのだが、山頂付近の25メートル越えの南西強風は相変わらずといった感じ。
ひとまず風の真裏となる北東面の吉田ルートより標高3400メートル地点の本8合目を第一目標とし、天候や風、雪のコンディションをみて、行けそうなら山頂へアタックをかけるという作戦だ。
はたして・・・
●いざ!残雪の富士へ
早朝05:40
ザッザッザッザッザッザッ
静かな朝に溶岩の砂利道を歩く音がひびく。
夏の開山期間には観光用の馬が歩いているこの周辺は5合目。
まだルート上に雪はないのだが斜面の脇はこんな感じ。

しかし歩けばまだ夏の登山道とほぼかわらぬ雰囲気。
この辺りでもチラホラと雪が着いてはいるが、まだまだこのシーズンの本当の富士の姿ではない。

はるか下には朝日に照らされた山中湖が美しい。

案の定、風裏となるこの北東面はほぼ無風に近い。しかし上部にいったら当然こうは行かないだろう。
6合目をなんなく通過し
7合目。ここからは本格的な雪山登山となる。小屋のまわりにある一般ルートは埋もれており、点在する小屋を目印に周辺の雪壁より直登するのが雪富士の基本スタイル。
アイゼンを装着したがまだ長袖のTシャツ一枚で大丈夫だ。

行くぜ相棒!

うぃっす!
キックステップを使っての登高。
一歩一歩アイゼンの爪先を蹴り込むこの作業はいたって単調なのだが、斜面での転倒は間違っても許されない。
そして普通の歩行よりはるかに体力も使うのだ。
ほとんど寝ていないとは言えまだまだ体力はじゅうぶん。一気に高度を稼ぐ。
5合目より休憩は入れずに歩くこと3時間。
ようやく8合目の小屋群が見えてきたぞ!

3100メートル地点の8合目に到着。
気温は徐々に下がりだいぶ冷えてきた。行動食のスニッカーズを半分だけかじりフリースを着こむ。

ここ8合目から、第一目標地点の本8合目までの区間で斜度はかなり立ってくる。
そして同じ8合目内とは思えぬほどに、ここから本8合目までの距離は長いのだ。
体が冷える前に先に進もう。
とにもかくにも積雪の富士は単調な登りだが一瞬の油断も許されない。
集中力の持続性が試される山だ。
もしこのカールに落ちたら果てしなく落ちてゆく想像は簡単だ。

ザクッザクッ・ シャン
ザクッザクッ・ シャン
ルートは直登につぐ直登。アイゼンを蹴り込む「ザクッザクッ」という音に、ピッケルを雪面へ差し込む「シャン」という音が静かな雪山に響く。
リズミカルに。
ザクッザクッ・ シャン
ザクッザクッ・ シャン
先にも書いたがとにかく長い8合目区間。雪崩の危険の少ないリッジ付近の雪壁を自分で決めたルートで行くのだ。
本8合目はまだか〜?
所々には雪のクラック。注意しながらルートを選択し、小屋を目印にルートを選び上がって行く。

すでにまわりを見渡せば完全に真っ白な世界。
ヒマラヤのローツェフェイスを想像させる(かってに)富士の巨大な壁。

ハアハアと息を切らしながらようやく目的地の本8合目に到着!
現在の標高は3400メートル。ひとまずアウターシェルを着こむ。

そしてすぐさま気象庁のサイトをチェック。山頂付近の風は25.7メートルの表示。
行けるのか?アタックできるのか?
地上事務局のS隊長に携帯で連絡。現在の状況を伝え、とりあえず山頂へアタックしてみると伝えた。
さあ、YU、いくぜ!
目の前にあるのは、風が巻く巨大な富士の上部。
その真っ白な姿。
不気味さすら感じるデカさと雪のつきっぷりだ。
なにやら先に二人組が見えるぞ!
風に断念し、下山中の外人パーティーだ。軽く挨拶をかわすと
「Windy! Oh my god!」と。
ひぇ〜
しかし我々はさらに先へと進む。
もうこの先は山頂までは小屋もない大雪壁。
ビュオ〜〜〜〜〜〜ビュオ〜〜〜ボボボボっ
時折くらう突風に耐風姿勢をとる。
寝不足からか?いつになく薄く感じる空気。もうエベレストのデスゾーンにいる気分(笑)
そして「アコンカグア〜」と意味不明な雄たけびをあげだすYU。完全にハイになっている様子。

あっ、9合目の鳥居が見えた!

しかしこいつが意外と近づいてこないんだよね〜。
不覚にも軽い高度傷害で頭が圧迫されているし(笑)
気温はマイナス。なのにジリジリと照りつける太陽と時折吹く強い風。寒いのだが、顔がメチャ焼けてるのを感じる。

3600メートル。9合目の鳥居に突入。ここでこれだけ積っているのか。山頂の鳥居はどんな感じなのか(笑)

山頂まではあと少しだ。
登山はまさに人生の縮図。
一歩一歩の積み重ねであり、また一歩をあやまっただけで転落もある。なんでもない一歩、大切な一歩。
風はかなり強まり、雪面もクラスト(氷化)した斜面になってきた。
アイゼンを蹴り込むたびに「シャリシャリシャリ」と音をたてながら奈落へと落ちてゆく大量の砕氷。
こりゃマジで絶対に転べないぞ

山頂の鳥居をさがす。次の鳥居。ラストの鳥居はどこいった〜!
息切れもすごい。
よしあそこだ!
頭を雪から一部だけ露出させた山頂の鳥居。あれをめざせ!
あと少しだと言うのに、なんか今日はめちゃくちゃ苦しいんだよね。
山頂を目の前にして立ち休みを繰り返す。だって本当に苦しいから。
お〜〜〜りゃ〜〜〜!!
あと5メートル
3メートル
2メートル
1メートル

13:20。登頂成功!

やったぞ!
YU君と堅い握手。
この広い富士山頂。日本最高の地。
今ここにいるのは俺らたった二人だけだ。何度も登ってきた富士山だが、今日は本当に感動したよ!
事務局S氏とFacebookに登頂成功のメールを送る。
見回せば頂上の小屋は完全に雪の中。


ヒョイと小屋の屋根の上を越え

噴火口へ。風強すぎてここからのショットが限界。

だって風表は風速25.7メートルだから(笑)
そして至福の一服

うまいっ!
二人で下に向かって叫んだ。
江原:ファイト〜!
YU:イッパ〜ツ!
くだらないけど、登頂成功したらこれやりたかったんだよね(笑)ねむ太郎もお疲れさん

積雪の富士登頂、ミッションクリアだ!
山頂滞在時間は約20分。
そして下山路へ。
8合目からは安全を見計らってのシリセード(滑り降り)。
16:30。無事に下山した。

トータルで約11時間半に及ぶ日帰りのエクストリームな冒険。
今回も大きな感動をくれた雪山。

日本の最高峰・富士山

仲間よ、日本の自然よ、本当にありがとう!

ありがとう!

THANKS:YU君、S氏(共にJR山岳会)
FIN

投稿者:江原