33年、とは言わないけれど、たしかに20年以上待ち続けた本を、やっと手にして、さきほど読み終えました。実はハードカバーの小説を買うのは筒井康隆「敵」以来です。しかも発売日にすぐ買って。
読みはじめたときは、いよいよ、という気持ちがいっぱいで、正直落ち着いて読めませんでした。
少しづつ読み進めていくうちに、やはり小松左京じゃなくあくまで谷甲州の作品なんだなあ、ということがわかってきて、山岳や熱帯の描写には舌を巻きつつ、文体への違和感も含めて、半ばがっかりしていました。
後半にいたって、事前に(33年前から第二部のテーマとして)提示されていた「日本を失った日本人はどう生きていくのか」に対する解答らしきものが、とても受け容れられるものではなかったことに失望し、ここにさんざん悪口を書いてやろうと思いながら読み進めていきました。
同じような経過をたどる人がいるかもしれません。どうか、じっくり、必ず最後まで読み通してください。
第一部を読み返すたびに、今でも必ずラストシーンで泣いてしまいます。そこまで好きな作品になるかどうか、初読の段階である今はまだわかりません。が。

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