「歓びを歌にのせて」SA SOM HIMMELEN(AS IT IS IN HEAVEN)
監督・脚本:ケイ・ポラック 撮影監督:ハラル・ゴナ・パールガー 美術監督:モナ・テレシア・フォーセイン 音楽:ステファン・ニルソン 2004年=スウェーデン 上映時間132分
出演:ミカエル・ニュクビスト/フリーダ・ハルグレン/ヘレン・ヒョホルム/レナート・ヤーケル/ニコラス・ファルク/インゲラ・オールソン/ベア・モアベア/アクセル・アクセル/ラッセ・ペタソン/バーブロ・コルベア/ウルヴァ・ルーフ/ウラ=ブリット・ノアマン/ミカエル・ラーム/アンドレ・シューベア/ニルス=アンダース・ヴァルゴーダ/ロッテン・ヴァルコーダ/ミアセア・クリシャン
(上映館:Bunkamuraル・シネマ1)
採点:★★★
過密なスケジュールで身も心もぼろぼろになった指揮者ダニエルが生まれ故郷の村に戻ってくる。高名な指揮者と知って村人は聖歌隊の指導を頼む。最初は渋っていた彼も、商業的ではなく、本当の音楽というものを実現しようと引き受ける。聖歌隊はみるみる上達、彼も村人との交流で心を取り戻していくが、村人の信望が彼に集まることに嫉妬した牧師によって職を奪われる。しかし、彼を失った教会には誰も足を運ばなくなってしまった。聖歌隊はオーストリアで行われるコンクールに出場することになる。その会場でいざ演奏というときに、彼は心臓病が悪化してトイレで倒れていた。指揮者の不在にいぶかる聴衆たち。突然、聖歌隊のメンバーで知恵遅れの青年がアーとチューニングの声を出す。それに合わせて声を出す聖歌隊のメンバー。その声につられてコンクールの参加者である聴衆たちも次々に声を出し始める。いつしかホール全体が声を合わせて巨大なハーモニーが形作られる。その声をトイレのスピーカーで聞きながらダニエルはこと切れる。
監督はTV出身ということで、作品はTV的なスピード感に満ちているけれどもシークエンスのつなぎが唐突だったり、荒っぽい印象は否めない。彼をめぐる人間模様も説明的かつステレオタイプなのが残念。ラストシーンも主人公の死で盛り上げようとする意図が見え見えなのはちょっと残念。全体として意欲に富んでいい作品ではあるけれども、ちょっと不満が残るのは脚本が弱いのかもしれない。レナ役のフリーダ・ハルグレンはとっても魅力的。

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