「この世界の片隅に」
2016年(東京テアトル) 126分
監督:片渕須直 アニメーション制作:MAPPA 企画:丸山正雄 プロデューサー:真木太郎 原作:こうの史代 脚本:片渕須直 キャラクターデザイン:松原秀典 作画監督:松原秀典 美術監督:林孝輔 撮影監督:熊澤祐哉 編集:木村佳史子 音楽:コトリンゴ 主題歌:コトリンゴ『悲しくてやりきれない』画面構成・監督補:浦谷千恵
声の出演:(アニメーション)
のん(北條(浦野)すず)/細谷佳正(北條周作)/稲葉菜月(黒村晴美)/尾身美詞(黒村径子)/小野大輔(水原哲)/潘めぐみ(浦野すみ)/岩井七世(白木リン)/牛山茂(北條円太郎)/新谷真弓(北條サン)/小山剛志(浦野十郎)/津田真澄(浦野キセノ)/京田尚子(森田イト)/佐々木望(小林の伯父)/塩田朋子(小林の伯母)/瀬田ひろ美(知多さん)/たちばなことね(刈谷さん)/世弥きくよ(堂本さん)/澁谷天外
上映館:イオンシネマ新潟西SC7
採点:★★★★★
思えば、我々の父母の世代、日本人は金持ちであろうと貧しかろうと、都会であろうと地方であろうと、その差はあろうとすべて等しく戦災にあっていて、日本国内にいる限り逃れるすべはなかったのです。その状況については、私の子どもの頃から数知れない映画やドラマで描かれており、自分の中でもある意味感覚がマヒしていたのですが、今回この映画を観るにつけ、改めてその事実を思い知らされました。
私の伯父は海軍の特攻兵として終戦時には呉の沖合の江田島に居り、原爆の光も兵舎で観たそうです。そして原爆で廃墟と化した広島駅を通って新潟まで帰ってきたと語っていました。
この映画は、戦前の広島で普通に暮らしていた主人公が呉に嫁ぎ、平凡な暮らしがあっという間に修羅場と化していくさまが丁寧に描かれています。主役を能年玲奈改め「のん」が好演しています。戦争を扱ったドラマなので、当然悲惨な描写もありますが、抑制されたトーンで登場人物ひとりひとりを丁寧に描写していて、なによりも主人公すずのおおらかな描写が魅力的な作品でした。
http://www.konosekai.jp/

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