2009/2/10

対馬ルリ子 「ストレスにじょうずに対処する方法」  日記

 ストレスの多い現代社会です。ストレスって何でしょう。今回は、女性や医療者に多いストレスと、ストレス対処法についてお話したいと思います。

 ストレスstressとは、そもそも生体内のひずみの状態をいいます。つまり、外から加えられた有害な要因=ストレッサーと、それによって生じた生体の防御反応の両方を、ストレスと呼んでいます。ストレスの要因としては、物理的なもの(寒冷、放射線、騒音)、化学的なもの(薬物、ビタミン不足、酸素欠乏)、生物的なもの(ウィルスや細菌の感染症)などがありますが、このほかに精神的なもの、いわゆる情動ストレスもあります。女性外来では、この情動ストレスや、それに対する生体の条件(疲労や更年期など)とおつきあいすることが多く、じょうずにストレスに対応することが、働く女性にとってはとても重要なことがよくわかります。
ストレス学説は、カナダのセリエによって説えられたもので、生体にストレス要因が加わると、脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌されます。それによって、副腎皮質ホルモンが分泌されてこれが全身に働き、一連の適応反応がおこるわけです。
第1期は、警告反応期と呼ばれ、障害あるいはショックの反応と、これに対する防御の反応がみられます。
第2期は、抵抗期といい、副腎皮質は重量をましてストレスに対応する抵抗力は強くなりますが、他のストレスに対しての抵抗力は弱くなります。
第3期は、疲弊期です。ストレスが長く続くと、ついには生体の能力が疲れきって適応能力を失ってしまいます。
 考え方によっては、現代女性がなやまされるいろいろな心身の問題は、ストレス要因=女性ホルモンの低下やアンバランス、仕事や家庭の役割に対するプレッシャー、人間関係や育児・介護の疲れ、などが長く続くことによって適応障害をおこしたものとも考えられます。PMSや更年期障害、プレ更年期と呼ばれる女性の症状も、早めの対策で、うまくのりきれそうですね。

 42歳のMさんは、年末に風邪をひいて以来、体調をくずしています。時々、動悸、発汗、めまいがあり、だるくてすぐ疲れてしまいます。検査をしてもらったのですが、血小板がやや多い以外は、何も異常はありませんでした。1週間遅れできた生理の量は少なく、いったん止まってもまた少し出血し、結局だらだらと8日ぐらい続きました。生活は特に変わっていないし、ストレスも特にないといいます。同居している母を仕事の合間をぬって病院につれていったり、また子どもの受験がせまっているので、なんとなく落ち着かない生活だそうです。
 33歳のBさんは、結婚して4ヶ月です。仕事を続けながら、結婚式、引越しなど、忙しい時期をすごしてきました。あるとき、急に寒気がして、嘔吐しました。ふと気がつくと、月経が3ヶ月来ていません。もともと月経不順があったのですが、これまでは2ヶ月に一回は来るので放ってありました。いちおう妊娠検査をしてみましたが、妊娠ではないようです。消化機能がおちているのか、何をたべても胃が重く、ムカムカします。体重も2〜3キロおちているようです。内視鏡検査の予約をしたところです。

 Mさんのように、風邪をひいたことも、Bさんのように、楽しいこと、うれしいことも、ストレス要因になります。それまでの体力や抵抗力、休養がちゃんととれているかということも、ストレスによる適応障害の出かたに影響します。女性にとっては、女性ホルモンの状態も、ストレス耐性に大きくかかわります。つまり、更年期や月経不順などホルモン低下が背景にある人は、ストレスに弱くなっているともいえるのです。
 せっかく女性外来にきていただいたのですから、医学的にきちんと調べるとともに、Mさんには漢方薬、Bさんには低用量ピルを処方して、経過をみていくことにしました。ただ、彼女たちには、薬を内服することだけが治療なのではなく、(もちろんこれらの薬は生体内のバランスを整えるのにとても有効ですが)定期的に通院してもらいながら、同時にこれまでの生活をふりかえり、今後のストレスコントロールに役立ててもらえるような生活改善をしていくのです。
 
 女性外来で、このようなストレス症状に対応するやりかたをご紹介しましょう。
1. まず、トータルなチェックをする。隠れている病気がないかを調べます。
意外に、貧血や甲状腺機能異常などがよく見つかります。
貧血、肝機能・腎機能・脂質・糖質、電解質バランス。甲状腺機能、膠原病、リウマチ、炎症反応。女性ホルモン。ストレスチェック(SRQ−D)、体格、食生活、運動習慣、喫煙や飲酒、気質などのチェック。
2. 生活歴や背景、精神的問題、性格や気質を把握するとともに、女性ホルモンのバランスがどのようになっているかを見ます。これでだいたいの問題点が絞れます。
3. 低用量ピル、漢方薬、抗うつ剤や安定剤など、症状を和らげ、生体内バランスを安定させる治療をはじめます。
4. 同時に、軽い有酸素運動やストレッチ、呼吸法、たんぱく質や脂質のバランスがよくビタミンやミネラルが抱負な食事、睡眠や休養のとりかた、行動や人間関係に関する認知の偏りなどについて、ゆったりと話をしながら是正していきます。
5. 6ヶ月ほどたつと、かなり体調もよくなり、生活のペースがつかめてきます。自分の性格や弱点がわかっているので、気をつけながら生活するようになります。もちろん、また感染症や繁忙、事件や事故などのアクシデントによって調子をくずすこともあります。でも、「そろそろ危ない、早めに手をうとう。」と、自分で判断して休みをとり受診できるようになっているのです。

 もともと、女性がストレスに弱くメンタルな調子をくずしやすい時期としては、月経前、妊娠中と産後、更年期などがあります。 そのほかに、人工妊娠中絶、不妊、乳がんや子宮がんなどの悪性疾患は、多くの女性にとって、大きなストレスになりうる出来事ですし、うつ病、双極性障害、不安障害、アルコール依存や喫煙、薬物乱用など、精神障害・健康障害として専門的な治療を受けるべき状態におちいっている女性もいます。
どのような女性であれ、きちんとケアされ、健康を保つ権利があります。自分らしく自信をもって生きていくために、メンタル・ストレスケアは、特殊な人や特殊な事情がある人ばかりでなく、だれもが常に心がけていくべきものであって、心療内科医やカウンセラー、女性外来などをふだんからじょうずに利用していくのは、大きなトラブルを予防するためにも大切だということをぜひ覚えておいてください。

 最後に、不安やストレスから開放する(ストレス・コーピングといいます)方法を紹介します。医療機関の利用とともに、誰もができるストレス対処法です。
1、 からだをリラックスさせる。
  息を「はく」ほうに集中して腹式呼吸をします。ヨガを習うのもよいことです。
2、 こころをリラックスさせる。
  静かに呼吸しながら自分に意識を集中させ、浜辺や森などを思い浮かべる。
  瞑想したりリラックスできる音楽を聴く。
3、 現実的に考える。
  心配ごとを思いめぐらすのではなく、現実的に何がおきうるか、最悪でも何ができるかを考える。決めつけず、いろいろな考えがあることを思いだす。
4、 運動をこころがける。
  走る、泳ぐ、歩くなど、週に2〜3回は、何も考えず体を動かすように。
5、バランスのよい食事
  甘いものの過食を避け、牛乳などのたんぱく質をきちんととり(セロトニンの材料、トリプトファンが入っています)、野菜やハーブなどをじょうずに取り入れる。
6、 自分をかわいがる。
自分を可愛がるのは怠惰や罪悪ではありません。必需品です。自分のペースでブレイクタイムをとること。
7、 シンプルな生活を心がける。
ノーという、雑用は人にまかせる、ぐっすり寝る、電話に出ない。
8.悩みやストレスを中断・延期する。
声にだして「ストップ」という。そして、後まわしでよいことにします。
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